ケイバ熱盛ブログ「思い悩んだジョッキー」(4月16日)

 栗東・井上です。みなさん、桜花賞はいかがでしたか?ワタクシは◎アールドヴィーヴル(5着)で撃沈しました。阪神競馬場の記者席で観戦。馬券こそハズレたものの、ゴールの瞬間は両腕にサブイボが…。白毛馬ソダシの走りに感動。そして、何よりも吉田隼Jのクラシック制覇をうれしく思った。

 3年前(18年)の夏ごろだった。「隼人が悩んでいてなぁ。相談に乗ってやってくれへんか?」。元騎手・藤田伸二氏からの電話です。当時、勝利数(18年の41勝は、デビューした04年3勝、05年23勝に次ぐワースト3位)が落ち込んでいた吉田隼J。その原因、今の思い、そしてこれから先のこと。札幌競馬場のベンチで2時間ほど話し込んだ。

 「もっと乗りたいし、もっと勝ちたい」。強い思いがあるなか、「美浦の関係者に世話になっているので決断できない」と悩む。当時、34歳。「後悔したくない」。「栗東を拠点にして幅を広げたい」。言葉から不退転の決意が伝わってきた。とはいえ、記者が何か手助けができるワケじゃない。アドバイスなんてとんでもないんだけど…。地盤を作るには時間がかかる。調教に乗る。厩舎を手伝う。核になる厩舎とつながる。長いスパンで考えて、それを続けていくことですよね。自分がハッキリと言えるのは“隼人Jは腕が立つ”“勝負勘がいい”ということ。記者目線で言わせてもらうなら、隼人Jは買いたい、本命を打ちたいと思わせるジョッキーです。そんなことを話した。

 吉田隼Jがデビューして間もない頃のことだ。武豊Jと「アドバイスを求めてくる若手」という話題になった。豊さんが真っ先に挙げたのが吉田隼Jだった。「熱心に色んなことを聞いてくる。関東のジョッキーにはなかなかいない。勉強家だし、彼はうまくなると思うよ」。18年の10月末から栗東で調教をつけ始め、昨年は91勝のキャリアハイ。目標に掲げていた関東リーディングには3勝だけ及ばなかったが、阪神JFを含む、重賞6勝と中身の濃い一年となった。レジェンドの直感は的中したのだ。

 吉田隼Jも感謝を口にする。「豊さんには多くのアドバイスをいただいたり、ご飯を誘ってもらったり。本当に優しくしてもらっています。関西を拠点に…という話をした時も、豊さんが“小倉で乗って人脈を増やした方がいい”と言って下さって。それを実行しましたから」。苦労人のジョッキーが花を咲かせたのは、そういった多くの支持があったからだろう。

 「ここ数年は失うものがないと思ってやってきました。今は競馬が楽しいし、充実しています」。馬との巡り会いは決して運ではない。努力と苦労の先につながっている。そんなことを感じさせる、吉田隼人Jの桜花賞制覇だった。

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