宝塚記念・G1

フェスタ

歓喜Xゴ〜ル!!

2010/6/27 阪神競馬場

▼宝塚記念・G1
1着 ナカヤマフェスタ  柴田 善臣  
2着 ブエナビスタ 横山 典弘 1/2
3着 アーネストリー 佐藤 哲三 1/2

 上半期のG1シリーズを締めくくったのは、8番人気の伏兵馬ナカヤマフェスタだった。昨年のドリームジャーニーに続いて2年連続、ステイゴールド産駒が宝塚記念を制した。柴田善は4年ぶり、二ノ宮師は12年ぶりのG1制覇。陣営はこの勢いに乗って凱旋門賞・G1(10月3日・仏ロンシャン、芝2400メートル)に挑戦する構え。1番人気ブエナビスタは2着、3着に3番人気アーネストリーで馬単、3連単が万馬券となり波乱の決着となった。

ナカヤマフェスタ

宝塚記念を制したナカヤマフェスタ(右)

 

世界驚かせる!

凱旋門賞挑戦へ

 

 雨上がりのむせ返るような暑さの中を、ピンクの帽子が颯爽(さっそう)と駆け抜けた。2010年上半期を締めくくるG1を制したのは、8番人気のナカヤマフェスタだった。ブエナビスタとアーネストリーのたたき合いを前に見ながら、柴田善は何度も左ステッキを振り下ろす。その懸命な励ましは、しっかりと鞍下にも伝わった。


 エンジン全開で直線一気に外から2頭をかわし去ると、ラストはブエナに半馬身差を付けてゴール。昨年のドリームジャーニーに続いて、ステイゴールド産駒が春のドリームレースを制した。

 

柴田善にとっては06年高松宮記念のオレハマッテルゼ以来となる4年3カ月ぶりのG1勝利。流れる汗をぬぐおうともせず、ベテランは淡々と振り返る。「とにかくやんちゃな馬。だから気分を損ねないように気を付けました。ゲート入りを手こずった以外はスムーズで、追い出してからの反応も抜群。きょうは馬の力を100%出せたと思います。難しくて手のかかる馬を仕上げてくれたスタッフに感謝したいですね」。昨年は腰の手術をするなど、つらい時期もあった。それだけに勝利の味は別格だった。

 

 二ノ宮師にとっても98年JCのエルコンドルパサー以来、12年ぶりのG1制覇となった。お立ち台に立つと開口一番「あんまり久しぶりすぎて、この感覚を忘れちゃいましたね」と報道陣を笑わせた。やんちゃな性格が出世を妨げていた愛馬の力を、どうすれば引き出せるのか。直前の長距離輸送を避け、早めに栗東に入厩させたことが奏功した。「前日輸送の菊花賞と中日新聞杯で結果が出せなかったので。きょうは落ち着いていましたね。競馬にはメンタルな面が大きいですから、最善の方法が取れました。協力してくれた厩舎スタッフに感謝しています」と指揮官は周囲への気遣いを忘れなかった。

 

 梅雨どきの力を要する馬場で結果を出せたことで、今後の選択肢が広がった。凱旋門賞への第一時登録もすでに済ませている。「準備は進めています」。厩舎の先輩エルコンドルパサー(99年2着)もなし得なかった凱旋門賞制覇へ。仁川の空から、夢は無限大に広がっている。

 

 

 

 

柴田 善臣

柴田 善臣

 


【和泉オーナーG1初勝利「娘が後押ししてくれた」】

 

 会心のV劇に和泉信一オーナー(83)は満面の笑みを見せた。「4コーナーは外を回っていたが、邪魔はされないのでいいと思った。結果的に外枠で良かったね」。フェスタの名付け親でオーナーだった長女・信子さんは、昨年暮れに食道ガンで死去(享年55歳)。名義を譲り受け、初めて手にしたG1の勲章だ。「娘が後押ししてくれたと思う。いい結果を報告できます」と目を細めた。1次登録している凱旋門賞については「勝っても負けても行こうと思っていた。おそらく直行になるが、これから調教師と相談します」と前向きだった。

 

 

 

 

横山典無念…ゴール直前でVスルリ


 つかみかけた勝利は、ゴール手前でスルリと抜けた。ファン投票1位、1番人気に支持されたブエナビスタは惜しくも2着。道中は好位の内で流れに乗り、直線に入るとアーネストリーをかわして一瞬、抜け出した。勝ったかに思えたが、外からナカヤマフェスタの強襲を受け、半馬身だけかわされ涙をのんだ。横山典は「頑張っていた。負けたけどね。前回よりは良くなっていた。持ち直したら、秋が楽しみ」と悔しさを胸に秘めながら、静かに振り返った。
 ドバイ遠征帰りのヴィクトリアMは、厳しい日程ながらも女王の底力を見せつけた。今回は厩舎でじっくりと調整し、馬体重はプラス12キロと回復。無事に送り出すことはできたが、勝負の結果は非情だった。松田博師は「運がなかったというか、勝ち馬と馬体が並んでいたら、違う結果になったかもしれないが。調教でも1頭になるとフワッとする。仕方がない。競馬だから」と敗因を分析した。
 今後については未定だが、ひとまず休養に入る見込み。グランプリの主役の座に就くことはできなかったが、反撃のチャンスはまだまだある。現役最強女王は、このままでは終わらない。

 

 

アーネストリー

手応え十分3着

 

 G1初挑戦のアーネストリーは3着。道中は2番手につけて直線も見せ場をつくったが、快挙はならなかった。佐藤哲は「いつもの競馬がしっかりできたし、秋、来年の宝塚記念でいいレースをしたい」と、さらなる活躍を期待。佐々木師も「折り合いもついて、いい競馬だった。タップダンスシチーに近づいてきた」と未来への手応えをつかんでいた。今後は札幌記念(8月22日・札幌)から天皇賞・秋(10月31日・東京)を目指す予定。

 

 

ドリームジャーニー

連覇ならず4着

 

 宝塚記念連覇ならず、ドリームジャーニーは4着。後方から勝ち馬に次ぐ上がり(3F35秒9)で脚を伸ばしたが及ばず。「伸びているけど、休ませた分の差かな。それがなければ突き抜けている」。池添は天皇賞・春をパスした中間の一頓挫を敗因に挙げた。底力を感じさせたが「4コーナーではさすがと思ったけど…。負けたのは悔しい」と肩を落とした。





ナカヤマフェスタ…牡4歳。父ステイゴールド、母ディアウィンク(母の父タイトスポット)。馬主・和泉信一氏。生産者・北海道勇払郡むかわ町 新井牧場。戦績・10戦5勝。重賞3勝目。総収得賞金・293、243、000円。二ノ宮敬宇調教師、柴田善臣騎手ともに初勝利。

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