ホーム > 競馬・レース >10プレイバックNHKマイルC・G1

ヴィクトリアM・G1

ブエナ

マイルでも女王様!

2010/5/16 東京競馬場

▼ヴィクトリアM・G1
1着 ブエナビスタ 横山典  
2着 ヒカルアマランサス 内田博
3着 ニシノブルームーン 北村宏 3/4

  首差が現役最強牝馬の証明だ。圧倒的な1番人気に推されたブエナビスタが差し切りV。09年ウオッカと並ぶ、レースレコードタイの1分32秒4でG1・4勝目を挙げた。次戦の宝塚記念(6月27日・阪神)で、牝馬では史上2位タイとなるG1・5勝目を目指す。2着には8番人気のヒカルアマランサスが入り、11番人気のニシノブルームーンが3着。2強の一角、2番人気のレッドディザイアは4着に終わった。

ブエナビスタ

ヴィクトリアマイルを制したブエナビスタ(左)4着に敗れたレッドディザイア(右)

 

ヒトシ君の愛馬が

今週のトップ賞です

 

 ホッとしました これが女王の底力だ。苦しみながらもブエナビスタが、ゴール寸前で先に抜け出したヒカルアマランサスを捕らえ、4度目のG1タイトルを奪取した。「ホッとしました」と汗をぬぐった横山典。安どの表情が首差Vの中身を語っていた。


 同じく海外遠征帰りのライバル・レッドディザイアとの4度目の直接対決。2強ムードもフタをあけてみれば、単勝1・5倍の圧倒的な支持を集めた。ただ、ドバイ・シーマクラシック(2着)での激闘を終え、帰栗したのは4月29日。厳しいローテは、思った以上にダメージを残していた。

 

 「落ち着いていたのはいつも通りだったが、返し馬から(歩様が)硬いと感じた。前で競馬をしたかったが、スタートを出ていかなかった」と鞍上は振り返る。向正面では後方6番手に位置し、目の前のレッドディザイアを追いかける形で直線は外へ。先行馬に有利な馬場状態にあって、末脚にかけるしかなかった。


 上がり3Fは2位タイの33秒5。本来の切れは鳴りを潜めたが、鞍上の叱咤(しった)に応え、1完歩ごとに差を縮めると、吸い込まれるようにゴールへ飛び込んだ。2着馬とは首差。「内と外で離れていたし、脚も上がっていたので自信はなかった」。それでも、Vを譲らなかったのは最強牝馬のプライドだろう。

 

 G1勝利数を示す4本の指を、続いてコンビでのG1初V、そして“No.1”を意味する1本の指を天にかざした。馬上からの華麗なジャンプでは勢い余って尻もちをついたが、緑がまぶしいターフに負けない笑顔を輝かせた。「ドバイに行って大変だったろう。勝てて良かった。ブエナビスタは素晴らしい馬。これからもいい競馬をしてくれると思う」と最大級の賛辞を送り、今後のブエナに望むことを問われると「最後まで(自分が)乗れること」と笑わせた。

 

 「ヒヤッとしたが、良かったですよ」と松田博師も喜びをかみしめた。「帰国初戦で今までよりは工夫して調整してきた。マイルに不安はあったが、4戦4勝しているのでこなせる範囲だと思っていた。よく伸びてくれた」と胸をなで下ろす。 次なるターゲットは宝塚記念だ。昨年の有馬記念で半馬身差で逃した、牡馬を倒してのG1獲りへの挑戦。リーディングを独走する名手とのコンビで今度こそ撃破する。

 

 

 

ブエナビスタ

口取りの中にブエナの一口会員・草野仁の姿も(左から5人目)


【凱旋門賞挑戦は否定的】

 

吉田勝己氏明言 生産馬のワンツーとなったノーザンファームの秋田博章場長は「2着馬はG1ではどうかなと思っていたんだけどね」と予想以上の結果に満面の笑みを浮かべた。「もっと離して勝つと思った。本当に精神力がすごい」と話したのは、息子の俊介氏(サンデーレーシング代表)の代理として表彰台に登った吉田勝己氏だ。「やっぱり3歳馬じゃないと厳しい。ドバイはチャンスがあるけど」と昨年、実現しなかった凱旋門賞への挑戦には否定的な考えを示した。
 なお、母のビワハイジは14日にゼンノロブロイと種付け。産駒には、父ディープインパクトの1歳馬(牝、サンデーレーシングで募集価格7000万円・40口)とトーセンレーヴ(牡2歳、栗東・池江寿)がいる。

 

 

 

光る2着!アマランサス

 

 ゴール前で先頭に立ったヒカルアマランサスだが、ブエナビスタの鬼脚に屈して首差の2着。内田博は「やったと思ったけど、最後は隣の馬が出ていたから」と悔しさをにじませた。それでも、2強の一角を崩しての銀メダルは胸を張れる。
 ここ2戦より前での競馬になったが「スタートを出たときは行こうと思っていたし、いい位置につけられた。最後は(勝ち馬が)すごい脚で来るだろうと思っていたので勢いをつけながら徐々に追い出した」と振り返った。惜敗に「これが競馬だからね」と池江郎師。ただ、8番人気で臨んだ初めてのG1での好走に「よく走ってくれた」と納得の表情を浮かべた。今後は未定だが、ブエナビスタ、レッドディザイアと同級生の4歳馬。府中で見せた輝きは、これからさらに増しそうだ。

 

 

4着レッドディザイア 「悲観する内容じゃない」

 

 残り1F、さあここからという場面で脚勢が鈍ってしまった。2番人気のレッドディザイアは4着に敗退。ブエナビスタとの着差は時計にすればわずかコンマ1秒。しかし、この宿命のライバルには外から完全にねじ伏せられ、ヒカルアマランサスを捕らえ切れず、最終的にはニシノブルームーンにも差し込まれた。

 

 「前が止まらない馬場で久々のマイル戦。中団くらいには行かなければと思って出して行った分、途中で(ハミを)かんでいた。でも外枠だから、ジッとしていると後ろになっちゃうしね…」と悔しそうな表情で引き揚げてきた四位は、(17)番枠を大きな敗因に挙げる。

 

 今週からBコースに変わった東京芝は、イン有利で前残りの決着が頻発。直線に向いた時点での手応えはブエナを上回るものだった。だが、ポジションを意識的に取りに行かざるを得なかったことによる道中の力みは、想像以上に体力の消耗を招いていた。「上手に走らせたら、もっと際どかった。人気だったから4着という結果には責任を感じる」と唇をかんだ。

 

 はじけ切れなかった。しかし、大きく崩れたわけではない。内めの枠でロスなく運べていれば、結果もまた違った可能性は十分にある。ドバイ遠征から帰国後の短い調整期間のなかで最善を尽くしての結果に、松永幹師は納得の表情を見せた。
 「同じ条件だったブエナは改めて強いと思ったけど、ディザイアもよく走った。それほど悲観をする内容じゃない」。次戦は宝塚記念を予定。今度は万全の態勢を築き上げ、世界レベルの脚力を披露する。

 

 

 

 

ブエナビスタ…牝4歳。父スペシャルウィーク、母ビワハイジ(母の父カーリアン)。馬主・(有)サンデーレーシング。生産者・北海道安平町 ノーザンファーム。戦績・13戦7勝(うち海外1戦0勝)。重賞・08年阪神JF、09年チューリップ賞、桜花賞、オークス、10年京都記念に続き6勝目。総収得賞金・750、359、700円(うち海外92、436、700円)。松田博資調教師、横山典弘騎手ともに初勝利。

Copyright(C) 2011 デイリースポーツ/神戸新聞社 All Rights Reserved.
ホームページに掲載の記事、写真などの無断転載、加工しての使用などは一切禁止します。ご注意下さい。
当サイトは「Microsoft Internet Explorer 4.x」「Netscape Navigator/Communicator 6.x」以上を推奨しています
Email : dsmaster@daily.co.jp