金子千穂 父の背中を追ってボートの世界へ
【第56回】金子千穂(22)=群馬・122期=
父は元ボートレーサーの建二さん(昨年12月13~16日の桐生を最後に引退)。家では仕事の話をすることがなかったとのことで、小学4年生まで父の職業がボートレーサーであることを知らなかったという。それでも目指すきっかけとなったのは、やはり父の存在だった。
「看護師になろうと思っていたが、血が見られず変更しました」。進路を考え直していたときに、父の職業、ボートレースの存在が思い当たった。「お父さんを迎えに行ったときにレースを見ただけなのですが、スピードとかすごいなと思った」と振り返る。
プライベートの過ごし方を尋ねると「静かな所が好きなんです」と語る。今一番のお気に入りは神社の御朱印巡りで「もともと神社、自然が好きで。かわいい柄があって、集められるんだと思いました」と励んでいる。
他にも「夏はお父さんと犬と川遊びをしたり、妹と一緒にお菓子作りをしたり。静かに過ごしています」とささやかな楽しみを口にする。
父の背中を追って飛び込んだボートレースの世界。1年半ほど現役生活が重なっていたことになるが、当初はボートレースについて話すことはなかったという。
「“見るのも怖い”と言われました。もともと仕事の話をする人ではなかったので聞きづらかった。でも辞める少し前くらいから、ペラ調整を教えてもらえるようになった。走ったレース場のことや、ゲージをもらったり。ありがたかったです」
デビューから約1年。4月23日の桐生ヴィーナスシリーズ4日目1Rでインから逃げて1着。329走目で念願の水神祭を挙げることができた。ようやく壁を打ち破った金子が、静かに闘志を燃やして今後の活躍を誓う。