【児島SGコラム】26年目のグランドチャンピオン初出場 金子龍介は私のダイヤモンド富士

 「野白由貴子のMかSか?キング&クイーン」

 2節前、児島に出場していた金子龍介に告げた。「グラチャンもピットに入る。私は現場にいたいから」と。「はぁ?」という顔をしていた金子に説明した。

 コロナ禍のSGでは取材制限がかかる。ピットに入ることができる記者の人数は6人だけ。それに、通常のSGは複数の記者が役割分担をする。本紙予想の役目は、全体が見渡せる記者室から水面を見て、レースや試運転の気配で予想をすること。一般戦のように自分で取材をして写真を撮って、予想をするわけではない。今までのSGはこっそり記者室を抜け出してピットに顔を出していた。選手の様子を見ないと、私の予想は当たらない。

 だが、今回は状況が違う。ピットに入ることができる記者は検査済みの6人だけ。節間を通して同じメンバーが担当する。私はどうしてもピットに入りたかった。それは、グランドチャンピオン初出場の金子の姿を見ていたかったからだ。

 私は実況アナウンサー時代、一度だけ修了記念レースの実況をした。それが金子の77期。宮島の優勝戦実況を終えて電車を乗り継ぎ、夜10時に新富士のビジネスホテルに到着。翌朝は6時前にタクシーで本栖湖へ向かった。「最初はやんちゃだったが、訓練後期に急激に素質を開花させた金子龍介」という資料を読んでいると、運転手さんが叫んだ。「あなた、富士山を見るの初めてって言ってたよね。初めてでこの光景が見られるなんてすごいよ」と。

 いつの間にか夜が明け、太陽が昇り始めていた。富士山の山沿いを太陽がコロコロと昇り、山頂で輝いた。ダイヤモンド富士だ!!息をのむようなあの感動は忘れられない。私はその瞬間、確信した。これから向かう場所にダイヤモンドの原石がいる。それは金子龍介に違いないと。

 四半世紀の年月を経て、48歳になった金子は昨年のダービーでSG初優出を果たし、児島のグランドチャンピオン初出場を決めた。SG覇者である魚谷智之や吉川元浩に比べると超遅咲きだが、私はまだ金子のSG優勝を諦めていない。私は金子のSG優勝で舟券を当てて、ダイヤモンドを買うと決めている。昨年のダービーも総流しで勝負した。

 今大会の予選突破は厳しくなったが、今日の一走は次のSGに続く道。SGでは毎日が勝負なのだ。最近金子は気まぐれに「ノバッキー」と私を呼ぶ。それが妙にうれしい。SGレースの独特の緊張感の中、金子はいつも通りだ。「ノバッキー、その靴キラキラしてかわいいな」と私の服装チェックをしてくれる。そう、私はキラキラしたものが大好きだ。いつの日か、金子がダイヤモンドの輝きを放つまで見守り続ける。あの日みた、ダイヤモンド富士を信じて…。

 6R 魚谷智之は10万円台、高野哲史もまくり差しで万舟を叩き出した。好配当を呼ぶ兵庫勢に金子も続く。64、65流し。

(児島ボート担当)

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