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【ボート】今村豊が引退…さらば艇界のプリンス 39年5カ月の現役生活に別れ

 ボートレース界を代表する名レーサーで、『艇界のプリンス』と称された今村豊(59)=山口・48期・A1=が8日、都内で記者会見を開き、引退を表明した。39年5カ月の現役生活で、SG7回を含め、優勝142回、生涯獲得賞金は歴代2位となる29億円超。偉大なレーサーが水面に別れを告げ、一つの時代が終わった。

 涙はなかった。仕事をやり遂げた、すがすがしさ、さわやかさに包まれた今村が、引退会見の席にいた。

 今年は、1月の鳴門一般戦で優勝し、その後も3月の徳山、7月の津と一般戦で優勝を重ねていた。5月には、地元・徳山でのG1周年記念で優出(6着)も果たした。

 その裏側で、引き際と向き合っていた。「この11月から最低体重制限が51キロから52キロに変更される。その52キロに限界を感じた」と言う。小さい体を武器にレーサーになった。体重制限のない時代には、43キロで走ったこともある。「食べたくないものを、嫌々食べるのも苦しいものです」と、減量ではなく、増量が限界だったことを明かした。

 最後のレースは、9月28日、地元・徳山のG1・ダイヤモンドカップの最終日5R。5コースから5着だった。「正常にSして、正常にゴールすることだけ考えていた。そういう心境だった」と、やり切ったレースを振り返った。

 ボートレース史に、さんぜんと輝く記録を残した。81年にデビューし、デビュー戦で1着。いきなり優勝戦にも進出した。代名詞となった「全速ターン」を武器に、82年には初出走から360日でSG初出場(住之江・オールスター)し、84年には初出走から2年11カ月でSG初優勝(浜名湖・オールスター)も達成した。

 SG優勝戦には47回出場し、7回優勝。G1優勝は48回を数える。53歳で出場した15年のマスターズ(児島)では、完全優勝。17年には芦屋で、史上18人目の全24場制覇を果たした。また、デビュー以来、A1級から1回も降格することはなかった。BOATRACE振興会はこの日、「BOATRACE殿堂」を設立する予定で、今村をその第1号に内定したという。

 大ケガこそなかったが、40代前半の03年ごろには、メニエール病を患った。「めまいの発作が起きると、欠場ですごく迷惑をかける。引退を考えたことはある」。しかし、治療と努力で克服し、第一線でボートレース界をけん引し続けた。賞金王にはなれなかったが、その夢は愛弟子の白井に託した。

 「肩の荷が下りたような、ホッとしている自分がここにいる」-偉大なレーサーが水面に別れを告げた。

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