「魁！海外馬券塾」（１５日）

　ジャパンＣの来日外国馬にアイルランドのＡ・オブライエン師の管理馬アイダホの名がある。恐らく馬主のクールモア陣営が専属騎乗契約を結ぶムーアがこの馬に騎乗することになると思われる。

　同馬の戦績を見るとアスコット、エプソム、カラといった欧州でも屈指のタフな競馬場での好走歴がある一方、３度の北米遠征ではいずれも着外に敗れている。東京の硬い馬場に向きそうにはなく、そもそも遠征が苦手な馬とさえ思える。

　クールモア陣営は、ムーアが他馬主の馬で大レースを勝つのを快く思っていないと聞いたことがある。世界各国の競馬の特性を熟知し、それに合った馬を遠征させて勝ち星を積み重ねるチームにしては、あまりにも勝算が低く映るアイダホのジャパンＣ出走は、ムーアは我々の騎手だと日本のファンと関係者に知らしめるのが目的なのではないか。率直な感想を言わせてもらえれば日本馬に騎乗するムーアが見たかった。

　辛辣（しんらつ）な意見を書いたが、若いころの私に豪州の牧場での研修機会を与えてくれたクールモア陣営には、感謝こそあれ敵意など一切ない。来日を心から歓迎し、アイダホの好走を願っている。（海外遠征コーディネーター・田中敬太）