【中学受験】「新小4から通塾」は絶対か 焦る前に知っておきたい“家庭学習”という攻めの一手

 小学生の保護者の皆様、こんにちは。「おうち受験コーチング」代表の鈴木詩織です。

 12月に入り、中学受験の世界は慌ただしくなってきました。「新学年」がスタートする2月を前に、「受験をするなら小3の2月から通わなければ間に合わない!」「今入らないと席がなくなる」といった声が、ママ友や塾のチラシから聞こえてくるからです。

 こうした周囲の声や情報に煽られ、「まだうちの子には早いかも」という直感を押し殺して入塾を決めてしまう方が後を絶ちません。しかし、3000組以上の親子をサポートしてきた経験から申し上げますと、「早く入れば受かる」わけではありません。 むしろ、お子さんの成長段階を無視した早期入塾が、勉強嫌いを生む原因になることさえあるのです。

 実際、あえて「通塾を遅らせる」という戦略をとって成功した事例は数多く存在します。

【成功例1:習い事との両立を優先したA君】

 剣道を続けたいA君は、拘束時間の長い集団塾には通わず、4~5年生の間は通信教育とコーチングを活用して家庭学習を進めました。体力と集中力を養い、満を持して塾に入ったのはなんと6年生の夏。そこから志望校の過去問対策に特化し、短期間で合格点を叩き出しました。

【成功例2:塾ボイコットから最難関校へ逆転したBさん】

 「みんなが行くから」と新4年生で入塾したものの、ペースが合わず塾をボイコットするようになったBさん。思い切って5年生の1年間は塾を休会し、家庭学習に専念しました。親御さんのサポートのもと、自分のペースで基礎を固め直し、自信を取り戻したBさんは、6年生から再び通塾。最終的に志望校合格を果たしました。

 これらの事例に共通するのは、「家庭で正しい学習習慣と基礎力をつけてから、アクセルを踏んだ」という点です。

 もし「まだ通塾は早い」と感じるなら、焦らず家庭で準備を進めましょう。 具体的には、積み重ねが重要な「算数」と「国語」に時間を割き、基礎概念をじっくり理解すること。そして「理科・社会」は無理に受験テキストを使わず、学校で習う内容を4年生のうちに5年生の範囲まで先取りしておきます。現在は優秀な映像授業やアプリも安価で手に入りますし、中学受験専用の通信教育もあります。これらを活用すれば、塾なしでも十分な予備知識を蓄えることができます。

 保護者の目の届く家庭で「正しい勉強のやり方」を身につけ、精神的に少し大人になってから塾を使い倒す。 「とりあえず入塾」よりも、この“急がば回れ”の戦略のほうが、結果的に最短ルートで合格へ近づくことも多いのです。周りの声に流されず、ぜひ「わが子の適期」を見極めてあげてください。

<プロフィール>

 鈴木詩織

 受験コーチング協会代表理事。中学受験・高校受験・大学受験を目指す親子向けの受験コーチングをオンラインで行う「おうち受験コーチング」のサービスを展開。4000家庭以上の親子の受験に向き合う。著書に『おうち受験コーチング』『子どもが自走する言い換えビフォーアフター』共著に『おうちエニアグラム』いずれもみらいパブリッシング。

(受験コーチング協会代表理事・鈴木詩織)

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