関西の芸能界で異彩放つ 個性派芸能プロの戦略「来るもの拒まず去る者追わず」「テレビだけじゃない」

 群雄割拠、生き馬の目を抜く芸能界。特に関西エリアでは吉本興業が一大勢力として君臨し、数多くの所属タレントや芸人が活躍を見せている。その一方で、独自の生存戦略を展開し、個性豊かなタレントを抱える芸能プロダクションも多数存在する。創業から50年を超える、和光プロダクションもその一つだ。

  「タネもシカケもチョットあるよ」のフレーズで知られるマジシャンのゼンジー北京をはじめ、関西屈指の名物レポーターのタージン、大物芸人として今や競馬やカラオケ番組の司会者で知られる青芝フックなど、実に個性派がズラリと並ぶ。

  吉本興業や松竹芸能が居並ぶ関西芸能界において、どのような戦略を持ちながら、タレントのマネージメントを行い、50年もの間、事業を展開してきたのか。和光プロダクションでプロデューサーを務める、市川さんに話を聞いた。

  創業者の故・三善捷三さんとゼンジー北京が二人で立ち上げたという和光プロダクション。当初は、劇場やテレビ出演のほか、地方での営業に力を入れたマネージメントを展開していたという。その理由について、市川さんはこう話す。

 「もともと、ゼンジー北京が所属していたマジシャンの興行会社に、三善が出入りしていた関係で、地方との繋がりが強かったんです。二人で当社を創業した後もその関係で、企業の催事や敬老会、JA関係などでお仕事をさせていただいたと聞いています」

  当時、所属していた代表タレントがゼンジー北京。中国人に扮した、“しゃべりがオモロイ”マジシャンとして人気を博した。その後、80年代から90年代にかけ、今も活躍する個性派タレントを続々と抱えることになる。

 「意識的にそういった方々を引き抜いたワケではなく自然となんですよ。“来る者拒まず、去る者追わず”という精神で。他事務所のタレントさんとのお付き合いが色々とありまして、何かの理由でこちらに来たいというのであれば、ぜひぜひ、という感じです」

  その精神を体現するように、他事務所から移籍してきたタレントや、再度芸能界で挑戦したいと再起を掛ける芸人も多い。

   創業時から地方営業に力を注いでいたことが、「今では事業の大きな柱になっている」と市川さんは言う。

 「言わば、広告代理店ですよね。地方のクライアント様からご依頼をいただいて、ご要望に合わせてタレントや企画を考えるのですが、すべて自社タレントで対応するワケではありません。内容に合わせて、他事務所のタレントさんをキャスティングすることもありますよ。自社のタレントをゴリ押しせず、クライアントの希望を実現するコンテンツを作る姿勢から、今も全国から多数の引き合いがあります」

  こうしたイベント制作事業を全国規模で展開することが、和光プロダクションを下支えする大きな力になっているという。

  では、タレントのマネジメントに関して、今後どのように売り出そうという戦略を持っているのだろか。

  「テレビなどのメディア出演ばかりが、タレントの活躍の場ではないと考えています。例えば、とある企業の周年記念の司会にタージンを起用した時、本当に喜んでいただいたことがあります。それはタレントにとっても大きな喜びにもなる。そんなふうに、テレビなどで培った技や術を、ほかのジャンルに活かすこともタレントが活躍する新しいフィールドになるんじゃないでしょうか」

  タレントも個性的なら、事業戦略も個性派。今後は、デジタル系コンテンツにも視野に入れて、新たな活路を見出そうと邁進したいという。

(よろず~ニュース特約・橋本未来)

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