コロナ感染また拡大…東京の“鉄の結界”パワーを信じたい 鬼門の寺で考えた都市伝説

 最近、皇居の工事現場から現存するものでは最古とみられる、江戸城の石垣が発見されて話題となった。崩れる恐れがあるため、再び埋め戻されて保存されるという。このニュースに触発され、江戸・東京にまつわる都市伝説についてのインスピレーションを得るため、江戸城の鬼門の方向、丑寅(うしとら)に建てられたという上野寛永寺に行ってみた。

 正式名「東叡山寛永寺円頓院」は、寛永2(1625)年に創建された天台宗関東総本山の寺院。開山(初代住職)はあの南光坊天海、慈眼大師である。天海は生き残った明智光秀だったという俗説があるミステリアスな人物としても有名だ。天海は徳川家康の命で関東の地層を調べ、古代中国の陰陽五行説になどにある「四神相応」の考えを元にして、江戸が徳川幕府を開くのにはふさわしい場所であると結論付けた。「四神相応」とは東に川、西に道、南に海、北に山がある土地は栄えるとの考えで、江戸は東に隅田川、西に東海道、南に江戸湾、北には富士山がある、まさにピッタリの土地だった。

 だが、風水には丑寅(北東)の方角には鬼が出入りするに「鬼門」がある。そのため、天海は1616年、江戸城の鬼門に寛永寺を建て、自らが住職となったという。そんな風水の考えを用いた都市作りは、江戸から東京と名を変えた明治以降も生きている。小説の題材にもなるほどで、平将門の怨霊が帝都・東京破壊をもくろむ、荒俣宏の「帝都物語」シリーズにはそんな様子が書き込まれている。

 実は都心に張り巡らされた鉄の“結界”が、大都市・東京を守護しているという話がある。JR山手線とその真ん中を東西に蛇行するJR中央本線を思い浮かべてほしい。路線図をみると陰陽道、陰陽五行などでおなじみの太極図(タイチーマーク)と極めて似通っていることが分かる。太極図にある黒は下降を意味する陰、白は上昇を意味する陽。陰が極まれば陽が生じ、陽が極まれば陰が生じることを表して、円環全体で永遠に循環するという。

 では、なぜ都心に太極図があるのだろうか。すべては皇居を中心とした帝都・東京を永遠に繁栄させるためと考える。山の手線が現在のように環状運転を始めたのは1925(大正14)年。1月にはイタリアでベニート・ムッソリーニが独裁を宣言し、7月にはアドルフ・ヒトラーが「我が闘争第1巻」を公表した。4月には日本でも治安維持法が公布された。日・独・伊の三国同盟へひた走り始めた年だろう。

 そんな時代に大規模な鉄道網を敷き、太極図としたのは、気の流れで皇居を中心とした東京を永遠に守ろうとしたと考えたに違いない。黒の中央にある白点は後に陽に転ずる陰中の陽だが、路線図を太極図に合わせてみると陰中の陽に皇居が位置するのは偶然ではないだろう。

 実際、大空襲で焼け野原になった東京は復興し、戦争=敗戦という陰から陽に転じたのだ。だが、陽からまた陰に転ずるものだ。新型コロナウイルス感染症の拡大が、その予兆でなければいいのだが…。“鉄の結界”のパワーを信じたい。

(デイリースポーツ・今野 良彦)

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