「カメラを止めるな!」の上田監督 エヴァ初体験で「自主映画のような自由さ感じる」

上田監督のYouTubeチャンネルのサムネイル
エヴァ初体験に臨んでいる上田監督
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 名作アニメ、エヴァンゲリオンを人生で初めて鑑賞し、その過程と感想を報告する。1995年のテレビシリーズから、3月8日公開が決まった『シン・エヴァ劇場版』の完結編を追う企画。大ヒット作「カメラを止めるな!」で知られる映画監督の上田慎一郎氏(37)が、1月から同氏のYouTubeチャンネルで配信中だ。

 取材時はテレビ版全26話まで進行。上田氏は「小難しいと想像していたのですが、前半は正統派エンタメやないかい、と思って見ていました。ところが後半になって様子が変わり、作り手の作家性が爆発し始めてから、また違った面白さになっていきました。自主映画のような自由さを感じるアニメだなと思いました」と語った。

 エヴァフリークがあふれる昨今。クリエイターとして、これまで同アニメに接する必要性はなかったのか。「全くなかったですね。僕らの世代で、見ていない人はいっぱいいると思いますよ」。友人に勧められたり、飲み会でエヴァの話題についていけなかった程度だという。「当時は小学生でしたから。中学生から20代前半くらいの人に一番刺さったのかなと思います。僕らの世代だと、その位の年頃になった時に、アニメや映画好きが過去をさかのぼって見るぐらいじゃないでしょうか」と続けた。

 今になって納得した自身の経験がある。「テレビシリーズの25話と26話が、多くの人をキョトンとさせたと聞いていたのですが、僕はそこまで動揺しませんでした。というのも、自主映画やインディーズ映画で作家性や自己表現の塊といった作品を見てきましたから」。哲学的で日記のようなナレーション、心象風景を表現した映像…25話や26話を想起させる映画場面が頭に浮かんだという。「エヴァに影響を受けた作品も多かったんだろうなと。今思えば、自分もエヴァを見る前からエヴァに影響を受けていたのかもしれません」と感慨を抱いた。

 エヴァの庵野秀明監督以外にも、初期の園子温監督やゴダールなど、作家性や自己表現の強い作品は決して珍しくはない。なぜエヴァに影響を受けた人が多いのか。「園子温監督の初期作品やゴダールは、コアな映画ファンしか見ないんですよ。ところがエヴァは、前半が正統派エンタメなので見やすいなあと思ったら“なにコレ”となる。そんな作品は少ないと思いますし、だからこそ多くの人が影響を受けたんだろうなと思います」と分析した。

 次は97年の旧劇場版「Air/まごころを、君に」を経てから新劇場版に向かう予定。「できるだけ予備知識を入れないように日々を過ごしています。25話と26話を見て、正統派なエンタメの楽しみ方ではないんだろうな、と感じています。どれだけ僕を置いていってくれるのか。どれだけ“分かんね~”と言わせてくれるのか。“分かんね~”と言いながらも面白い映画はいっぱいあるので、楽しみですね」と、今後を見据えた。

 ちなみに、エヴァ以外にも上田氏が未見のエンタメ作品はあるのか。「いっぱいありますよ。『ジョジョ』でしょ。『バキ』でしょ。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)はほとんど見ていません。家族が好きなので、MCUはぜひ見たいですね」。当分ネタに困ることはなさそうだ。(デイリースポーツ・山本鋼平)

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