舘ひろし ダンディズムの原点はラグビー魂!W杯日本大会“芸能界代表”として盛り上げる

 読者へ向け、ボールをパスする舘ひろし(撮影・出月俊成)
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 俳優の舘ひろし(69)が、大会PRキャプテンを務める「ラグビーワールドカップ2019日本大会」(9月20日開幕)が間近に迫り、テンションが高まっている。自身も高校時代にラグビーに青春を捧げた元ラガーマン。改めて競技の魅力に思いをはせるとともに、楕円球の世界を通じて学んだラグビー魂について熱く語った。それは「俳優・舘ひろし」の根底に息づくスピリットに他ならなかった。

  ◇  ◇

 胸が高鳴る。今月20日に控えた、ラグビーW杯の開幕。「今、前回とか前々回のW杯の試合をまたもう1回見まくっています。特に2015年の試合。日本以外にも、ニュージーランドやスコットランドなどの試合を見てますね」。初の自国開催に、芸能界屈指のラグビー通としてPRに奔走する舘は、世界各国の猛者たちの戦いを目に焼き付け、テンションを高めている。

 愛知県屈指の進学校でもある母校の県立千種高校ではラグビー部に所属。キャプテンも務めた。楕円球との出合いを、舘はまぶしそうに振り返る。

 「高校に入ったとき何をやろうか全く決めていなくて、グラウンドに立ってラグビーを見ていたんです。そうしたら、当時のキャプテンに『お前ラグビーやれよ』と声を掛けられて、『ハイ』と答えてしまった。『次の日から体操着に着替えて来い』と言われてね。これが単純なきっかけです」。ラグビーのとりこになるのにそう時間はかからなかった。

 「最初は本当にやめたいくらい練習が厳しかった。当時は水も飲んじゃいけないし、ウサギ跳びをやらされていた時代。まったく楽しくなくて。それでも、夏休みが終わる頃から楽しくなって、キックが飛ぶようになったり、いろんな動きができるようになった。そのころからレギュラーで試合に出してもらって」。ポジションはウイング。ますますラグビーにのめり込んだ舘は、「こんな刺激的なスポーツは他にない。だって、人をつかまえたり、倒したりするんだよ。非常に本能的だし刺激的でした。紳士的でありながら本能的なんです」とその魅力を端的に表した。

 先日行われた大会イベントでは、つい「優勝はオールブラックス(ニュージーランド代表)」と発言し沸かせたが、舘がオールブラックス推しなのは高校生の頃からだ。「体操の教科書に『世界最強のラグビーチーム』って載ってたの。ジャージー、短パン、上下とも黒で、ソックスも黒。当時60年代でしたが、スポーツで黒を着るなんて考えられなかった。非常にショックだったとともに、何てカッコいいんだろうって」。そこで、いてもたってもいられず、自身も“オールブラックス”となったエピソードも。「売ってるジャージーや短パン、ソックスは白で、洗濯屋さんに持っていって黒いジャージーに染めてもらって。ひとりだけオールブラックススタイルでした」と筋金入りだ。

 そんな舘が今、多忙を極める俳優業の傍ら、ラグビーを発信する立場にある。「俳優の仕事をしているとラグビーの話をすることはないので、色んな人とラグビー談議をすることが楽しい」と話す一方で、「このW杯を盛り上げることが日本のラグビーの未来を築くことだと思っている。まだそんなにメジャーなスポーツじゃない。これをいい機会にもっと熱が高まるようになってくれればと思っています」と使命を口にする。また「何でここで反則になるのとか、ルールが分からないこともあると思うが、一番大事なのは前に投げちゃいけないことと、前に落としちゃいけないこと。それで自分のゴールに向かって進めていく。それだけ分かっていれば楽しめます」とビギナー観戦者にも呼びかけた。

 今や“ライフワーク”となったラグビー。楕円球から学んだものは何だろうか。「人に対する思いやりです。いわゆる『One for All(ひとりはみんなのために)』につながるのかもしれないけど、自己犠牲というか。それゆえにラグビーは紳士のスポーツと言われるわけで、優しくないとラグビーをやる資格はないと思うんですね。すごく激しい競技でありながら、どこかに優しさがある、紳士たれということです」。舘の“ダンディズム”の原点は、ここにあるのだろう。

 さらに続けた。「『Good loser』という英国の言葉があってね。『良き敗者であれ』という意味ですが、それを感じたのは2015年の日本に敗れた南アフリカ」。史上最大の番狂わせと言われ、屈辱にぼう然とする南ア代表の中で、スカルク・バーガー選手が笑顔で日本代表と握手していたシーンが忘れられないという。「こんな日本に負けたにもかかわらず、笑ってお互いの健闘をたたえ合っていて、すごく感銘を受けた。ラグビーの神髄を見た気がしました。どんなに負けても悔しくても、相手に対しての尊敬を持たないといけない」と熱を込めた。

 舘自身、仕事に関わる周囲の人への気配りは常に心掛けている。現場では共演陣だけでなく、さまざまなスタッフへのさりげない声掛けや気遣いを忘れない。まさに相手に対するリスペクト。そんな一面は、ラガーマンならではだろう。

 最後に、改めて日本代表にエールを送った。「やはり勝つことに意味がある。『Good loser』には相反するかもしれませんが、4年前もサウス(南アフリカ)に勝ったことで、勝つということがどれだけのことか分かったと思う」。やはり日本のベストゲームかつ勝利が見たい。それがおのずと決勝トーナメント進出へとつながり、愛するラグビーの未来を動かす。舘はそう願っている。

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