吉本新喜劇の末成由美 定番ギャグ「ごめんやして」誕生秘話(下)、芸妓を参考に

 吉本新喜劇のベテラン末成由美(72)は1973年に座員となり、今年で47年目に入った。日本舞踊を5歳から始め18歳で名取を持つほどだっただけに、お笑いの世界に足を踏み入れるとは考えてもいなかったという。しかし、今では誰もが認める新喜劇になくてはならない存在だ。末成のギャグといえば「ごめんやしておくれやして、ごめんやっしーや!」。親しまれたギャグの誕生秘話に迫った。(上)(下)で。以下は(下)。

 -今までにウケた中から考えたわけですか。

 いやいや、ぜんぜん。女性やから(舞台セットの)入り口に入る時にちょっとかわいらしい感じのほうがいいいかなと思って。京都でよく遊んでたもんですから、京都で芸妓はんは「ごめんやしておくれやっしゃ」って入らはるんです。これで何かないかなと考えて。それで、できたんです。

 -初めて放つ時はどんな感じ。

 ウケへんかったらどうしようと思いました。でも、とりあえずものは試しやと思って。当時のうめだ花月でやってみました。「ごめんやしておくれやしてごめんやっしゃ!」て言うたら前列の女子3人がクスッと笑ってくれたんです。あとはシーンとしてましたよ。でも、3人が笑ったから「よし、これは続けたら絶対ウケる」とおもたんです。信じてやまなかったです。やっぱり継続は力やなと。もう何十年も言ってますけどね。

 -ないと寂しいです。

 そうですよね。お客さんは私が出てきたら「ゆうで、ゆうで。ゆうたー!」っていう安堵(あんど)感があるんですよね。

 -ですね。初めてギャグを放つ時はその時の演出家や座長にあらかじめ断るのですか。

 黙ってやりました。黙ってというか、上の大先輩がいなくなってからやりました。岡八朗さんとかが新喜劇をやめはって、外の舞台に出るようになって。うるさい人がいなくなってからやりました。

 -寛平さんや木村さんはどのように。

 寛平ちゃんは「なんやそれ、なんやそれ」って言ってました。でも言い続けると乗ってくれますもん。ダーン、ダーンて。

 -こけてくれる。

 そうそう。やっぱりこけないと面白くないもんね。ギャグを言うても知らん顔されてたら絶対ウケないと思います。あれは共同作業でダーンてこけるから盛り上がる。だからコケっていうのは大事なんです。本当に大事やなと思います。それ以外のギャグは自然と舞台でできたんです。「こんにち、ハァ」もね。アドリブです。ぜんぶ。

 -たまたま言ったところ、ウケたから使えると。

 そうです。以前は劇場でお客さんの入れ替えはなかったんです。1回目と2回目で。だから新喜劇を2回見るお客さんもいて、おんなじギャグを言うてもあかん、どうしようかなと思って。その時、(舞台セットの)うどん屋で石田靖がおってね。突然、思ったんです。「こんにち、ハァ」って。そしたら靖がダーッて乗ってくれて。すごいウケたんです。ギャグできた、ひとつできたって思いました。

 -末成さんは名取をお持ちの日本舞踊家。なぜ吉本新喜劇に。

 ほんとにね。お笑いの世界に足を踏み入れるなんて想像もつかなかったです(了)。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 末成由美(すえなり・ゆみ)1947年3月1日生まれ。山口県出身。滋賀県大津市膳所で育つ。日本舞踊名取(音羽菊嬉美=おとわきくよしみ)。趣味は料理など各種に。毎朝スクワットを50回こなしプロテインも飲む。71歳でフルマラソンに初挑戦し7時間を切って完走。「もう二度といや」。

編集者のオススメ記事

関西タレント最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス