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キダ・タロー 「飢餓と殺りくの時代に戻るのでは」と憂える…戦乱の昭和生き伸びた

 浪花のモーツァルトとして幅広い世代に親しまれる作曲家のキダ・タロー氏(86)は1930(昭和5)年生まれ。戦乱の昭和を目の当たりにした世代だ。現在の日本について「素晴らしい世の中」としながらも、きな臭い言葉が飛び交う状況に「飢餓と殺りくの時代に戻るのでは」と憂えた。キダ氏の平和への願いを聞いた。

 -現在86歳。戦前、戦中、戦後、21世紀と長く世の中を見てこられた。現代をどのように。

 「最高の時代。素晴らしい世の中です。昔は飢餓と欲求不満の時代でした。上からの強制による徴兵検査は恐怖だった。そういうものが今は何にも無い。昔と雲泥の差です。昔は食べようと思っても働こうと思っても兵隊にとられるわ、空襲でみんな死んでしまうわ。そんな暗い世の中が延々と続いて今、ぱっと明るくなった。この一瞬ですわ。一瞬明るくなったと思ったら、きな臭い教育勅語が出てきた。あれはダメです。問題外、論外。歴史を知らない人が言うことですよ。知ってて言ってるかもしれないですが。あれは明らかに戦争に直結する」

 -長く続いた暗い時代がやっと終わったのに。

 「また戻ろうかという。飢餓と殺りくの時代を知ってんのかと思います。戦争になれば人がぽんぽんぽんぽん死んでいくわけです。でも、人類というのは戦争を美化するんですね。戦う姿というのは昔からずっと絵にも残ってますし、映画にもなってます。戦う人を賛美する傾向が人間にはあります。なぜかと言うと、生まれた時から各グループに分かれて小競り合いをしてきたのが人間ですから。戦争の無い、こんな美しい素晴らしい時間をもっと大事にしたい。また戻るんかと思うと恐怖です」

 「政治家の中には現代の戦争は昔みたいに鉄砲を持って進撃するのではなく、ボタンひとつで済むハイテク兵器による戦争やと言う人もいますけどそれは違う。歩兵は歩兵で絶対に要るんです。鉄砲を持って走る兵隊が要る。先制攻撃はミサイルかも分からんけど、実際に敵地を占領するためには歩兵が絶対に要る。その歩兵は一般市民がなり、ばたばた死んでいくわけです。意味も無く」

 -二度とそんな時代には戻ってほしくないと。

 「戻ってほしくないですね。戦争が終わった時のあの解放感。なにごとにも代えがたいもんです。それまでは男の子の心には常に徴兵検査というものがありました。いつ召集令状が来るが分からない。それはもう恐怖です。朝昼晩。私もあと1、2年したら召集令状が来る年齢だった。そういう制約がなくなったあの瞬間の平和のありがたさというのはもう、すごかったです」。

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