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局部切断事件、北村弁護士に聞く

 東京・虎ノ門の弁護士事務所で大学院生の男(24)が男性弁護士(42)の局部をハサミで切り取り、トイレに流して処分するという猟奇的な事件が13日に発生した。「阿部定」をほうふつとさせる異常性に社会は震撼(しんかん)。男は傷害容疑で警視庁に現行犯逮捕され、容疑を認めているという。一体、どれくらいの量刑が下るのか。テレビ番組「行列のできる法律相談所」などに出演する北村晴男弁護士に聞いた。

 逮捕されたのは小番(こつがい)一騎容疑者。13日朝、虎ノ門の弁護士事務所で男性弁護士を殴り、意識がもうろうとなったところで下腹部を枝切りばさみ(刃渡り約6センチ)で切断した。

 北村弁護士は「人間の尊厳を奪う行為で極めて悪質。社会に与えた影響は大きい。刑法が定めた上限までいく可能性はある」とした。刑法204条は傷害罪について「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金の処する」と規定している。

 執行猶予の可能性について北村弁護士は、同容疑者が仮に初犯としても(1)被害者の落ち度が大きく(2)被害者に対し十分な賠償をして示談が成立し(3)被害者が処罰を望まない-という3つの要素がそろえば「ありうる」とした。しかし、あくまでも仮定で「ほぼありえない」と解説した。

 十分な被害弁償額については「過失によって本件同様の後遺障害を発生させた場合、裁判所の基準による賠償額はおよそ690万円。本件は故意であり、その倍の1380万円は必要」とした。また、被害者が許すことも「ないだろう」と見通しを示した。

 北村弁護士はまた、「事件を起こした動機を知りたい」と述べた。今回の事件は、同容疑者の妻が被害弁護士の事務所に務めており、警視庁は妻をめぐり同容疑者と被害弁護士との間で何らかのトラブルがあったとの見方も持って調べている。

 北村弁護士は「あくまでも仮定」とした上で、「妻が寝取られるというのはよくあることで、99%こんな事件に発展することはない。せいぜい怒鳴りつけるくらいはあったとしてもほとんどは慰謝料請求で終わる」とした。その点を鑑みた場合、北村弁護士は「加害者の異常性が際立つ。それに加えて、例えば被害者から加害者の尊厳を傷つけるような言動があったとか、加害者側の勘違いも含めて『何か』がないと、ここまでの事件にはならないのでは」と分析した。

 以上のことから北村弁護士は量刑について「めいっぱいいく可能性はある」と刑法が定めた15年という期間もありうるとし、「もし、被害者に何らかの落ち度があれば8-10年ということもありうる」とした。

 弁護士事務所で傷害事件が起こることも珍しい。業界に与えた衝撃について北村弁護士は「衝撃というほどのものはないのではないか。私たちにとって事件の相手方や元依頼者から傷つけられる場合の衝撃は大きい。そういう意味では本件は会社でもどこでもありうること。弁護士業務とは関係ない」と説明した。

 ▼北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツを中心としたメールマガジン「弁護士 北村晴男のスポーツ談義(https://www.tama-project.com/mailmagazin/)」を配信中。

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