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【篠山輝信】「ワンダー 君は太陽」は王道だけど新鮮な作品

 「ボクのイチオシ=5=」

 正直、この映画や原作については何も知らなかったのですが、たまたまいただいた試写状に写っていた、宇宙飛行士のヘルメットを被っている子どもの写真が妙に気になったのと、「ニューヨーク・タイムズ ベストセラーリスト第一位!全世界800万部突破の小説が遂に映画化!」という文言にまんまとつられて(僕は行列ができる店とかにも弱くてよく並んでしまう)見にいかせてもらったら、王道なのに新鮮ですごく面白かった。

 10歳の少年オギーは、遺伝子の疾患で顔が人とは異なって産まれてきたために、自宅学習を続けていた。両親はそんなオギーを外の世界に送り出そうと、新学期から学校に通わせようとするのだが、同級生たちの反応は…。

 この映画のストーリーや設定は王道で新鮮味はあまりないかもしれません。しかし、本作の素晴らしいところは、主人公だけではなく、そのまわりの人物たちの人生をとても丁寧に掘り下げて、それを有機的に組み合わせ、立体的に深く豊かに世界を描いているところです。

 もちろん、人とは違う顔のオギーと精神的にも幼い10才の同級生たちとの出会いの中での軋轢や葛藤、そしてそれを乗り越えようとする姿がこのドラマの根幹です。しかし、そこで登場する、家族、友人、あるいはいじめっ子にいたるまで、ただの記号的に描かれている登場人物は一人もいません。彼らには彼らの固有の人生がありそれぞれの事情や理由というのがあるのです。

 母親役のジュリア・ロバーツも素晴らしいけど、僕のお気に入りは姉のヴィアを演じるイザベラ・ヴィドヴィッチ。弟を愛し支える一方で、どうしてもオギーにつきっきりになってしまう母親からの愛情を求める寂しさがとても素朴な演技で繊細に表現されていました。

 この映画は彼女のドラマでもあります。真心をこめて丹念にそれぞれの人生を描写すればありきたりなドラマなんて無いということをあらためて教えてくれる、とても誠実で正々堂々とした作品です。あと個人的にすごく興奮したのが、スターウォーズのチューバッカがガッツリ出て来ること。「大人の事情」をよくクリアしたなあ、なんて色んな意味で感動しました。なんのこっちゃと思うでしょうが、それは自分で見て確かめてください。

 ◆篠山輝信(しのやま あきのぶ)1983年12月10日、東京都出身。俳優。映画、舞台などに出演しつつ、NHK「あさイチ」のリポーターとして活躍。

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