【上田まりえ 56】朝からソワソワ…いろんな人の運命が左右されるドラフト会議
今日はプロ野球のドラフト会議。野球を好きになってから17年…ドラフトの日は朝からソワソワしちゃいます。自分が指名されることは未来永劫ないのに、おかしいですよね。
大学1年生の冬、ある大学野球部の選手と知り合いました。年上の彼は下級生の頃からリーグ戦で活躍し、ドラフト候補。ずっと憧れていた人で、初めて会ったときの緊張は今でもはっきりと覚えています。「いつかアナウンサーになって、あなたのことを取材したいです!」と勇気を振り絞って伝えたところ、「じゃぁ、まずは俺がプロ野球選手にならないといけないな。ちゃんとなって、いい成績を残して待っているから頑張ってね」との答えが返ってきました。
ドラ1候補と言われ続けているような人なのに、とっても謙虚。周りの評価に振り回されることなく、しっかりと自分の夢を目標にしている姿勢に、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けました。今の私の頑張りで努力をしているなんて言ってはいけないんだ。気持ちだって、まだまだ足りない。そう気付かせてくれました。彼に会っていなかったら、きっと私はアナウンサーになれていなかったでしょう。
見事ドラフト1位で入団。友人がプロ野球選手になったのは初めての経験で、指名の瞬間、すごく興奮しました。「おめでとうございます」と電話で伝えると、「ホッとした。でも、ここからだから」と受話器の向こうから聞こえるいつもの声。たくさんのフラッシュを浴びている様子をテレビで見ていたので、私の方がホッとしました。
その後、彼はどうなったか…?結局1軍での登板はわずか数回。1勝も挙げることなく球界から去りました。もちろん、取材をする機会もなく、約束は果たせぬまま。戦力外通告を受けたという報道を目にした数日後、引退の報告と感謝を綴った丁寧なメールが送られてきました。
「運命の日」なんて言われ方をしますが、指名される本人だけではなく、いろんな人のいろんな運命が左右される日であるのがドラフト。夢が現実になる日でもあり、現実に直面する日でもあるのが今日。ドキドキしながら、テレビの前で見守りたいと思います。