【大場久美子 最終回】飛びますっ 飛びます 飛びました!
私の人生って黒か白。中間がないんですよね。いつも究極な選択を迫られる。
あるお笑い番組。番組が発明したものを、体を張って立証してみるという企画なのだ。私に依頼がきたのは洗濯物を持ってスカイダイビングをして3000メートルから飛び降りて、地上に着くまでにその洗濯物が乾くか乾かないかという事を立証するというものだった。いろいろ体を張る仕事をしてきたけれど、バンジージャンプとスカイダイビングは躊躇(ちゅちょ)した。家族を支えていた時期でもあり、私に何かあったら残された家族はどうなるのか…という心配もあった。
番組担当のディレクターさんが言うには、メイン司会の大物お笑いタレントさんからのご使命。私が断るとそのコーナーがとぶ(なくなる)と言うのだ。
母に相談したら「やれば」の一言。ウッソ!マジカ!悩んだあげく、億単位の保険を番組でかけてくれると言うので、私が死んでも家族は大丈夫だな。私ごときでコーナーがとんでしまうなんて、私は何さま?とも思い、引き受ける事にした。
地上での数分の飛ぶ練習ですぐ本番。ライセンスを持っていないので、背中にはインストラクターがへばりつくのだが…。
3000メートルまでのダイビング用飛行機には扉がない。どうせ飛び降りるんだし、パラシュートを背負っているので、もはやオープン飛行機だってどうでもよかった。やると決めたらやるのだから。
40秒ほどパラシュートがひらかないので、ものすごいいいきおいで落下。風圧もはんぱない。
インストラクターに「普通の笑顔に映るには、鯉のように口を横に大きく開けっぱなしにしないと笑って見えないよ」と指導を受け、素直に口を横にガマ口のようにあけたまま落下した。
体を張った仕事。オンエアを見たら…、ムダに口があいたままの、ぶちゃいくなオバチャンだった。
その後、大物お笑いタレントさんにその時の話をしたら「僕、指名してないよ…」(笑)
母に感想を聞いたら「まさかやると思わないから軽く答えた…」(笑)
実験の洗濯物?乾きませんよ3分のダイビングじゃ(笑)
(おわり)