【上田まりえ 27】自分の字の汚さに涙を流した12才の春

 新年度が始まり、気持ち新たに通学・通勤している方も多いのでは?私も、今週末から新たなレギュラー番組への出演が始まります。期待と不安が半分ずつ。まさに、入学式の前に感じていた気持ちに似ているんですよね。ここ数週間、そわそわと落ち着かない日々を過ごしています。

 入学式といえば、ある意味で私の人生の転機になったのが中学時代。小学校の卒業が間近に迫った頃、突然担任の先生に呼び出され「中学校の入学式の新入生総代あいさつを上田にお願いしたいんだけど、どうかな?」と言われました。「代表に選んでいただいたからには、素晴らしいあいさつができるように頑張ります!」とその場で返事をし、その日からあいさつのことで頭がいっぱいに。数日後、「参考にしてください」と、歴代の先輩方があいさつの際に手にしていた巻紙が、中学校からいくつか送られてきました。

 読み込んでしまうと自分の言葉ではなくなってしまうような気がしたので、サッとだけ目を通し、書き方を確認。何日かかけて文章を完成させ、小・中学校両方の先生に1度提出して、いよいよ清書!折りたたみ式の式辞用紙に油性ペンで書いていくのですが、ここである問題と直面するのです。そう、「字が汚い」ということに…。

 当時の私は、カクカクとしていて、ノートのマス目からはみ出るほどダイナミックな字を書いていました。丁寧に書こうとすればするほど、ますます角張り、大きくなる字…母から「汚い!やり直し!」と1文字書くごとに怒られ、なかなか進まない筆に涙を流し、自分の字の汚さに後悔した12才の春。

 入学式当日、自分史上最も丁寧に文字をしたためた巻紙を手に、しっかりと気持ちを込めて読み上げることができました!あいさつは成功したものの、「これが未来永劫(えいごう)中学校に残るんだ…」と思ったら、ものすごく恥ずかしい気持ちになって…。中学入学後、家にあったアンパンマンの「あいうえお表」を片手に、こっそりとひらがなの練習を始めました。その甲斐もあり、今では文字を書くことが大好きです。

 一昨年、退職願を部長に渡した際、「字が奇麗だね」と言われたときには不思議と嬉しい気持ちになりました。思を込めた言葉を伝えるためにも、文字も大事なツールの1つ。そんなことに気づかせてくれた入学式の思い出です。

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