実写版「ブルーロック」は「国宝」のサッカー版 「人間ができるプレーのギリギリ」追及→「スラダン」参考「『少林サッカー』ではない」 主演・高橋文哉が松井大輔氏と1年半のサッカー特訓も

 累計発行部数6000万部を超える人気サッカー漫画を実写化した映画「ブルーロック」が7日に公開される。ストライカーたちのサバイバルを圧倒的な熱量でスクリーンに具現化したのが「キングダム」や「国宝」などのヒット作を手がける制作会社・CREDEUS(クレデウス)。完成までの舞台裏を同社代表で同作プロデューサーの松橋真三氏(56)に聞くと、サッカー版「国宝」とも言える作品作りが見えてきた。

 日本をW杯優勝に導くべく、巨大監獄でストライカーたちを競わせるサッカー漫画「ブルーロック」。独創的なストーリーと魅力的なキャクターたちの躍動でアニメ化もされた人気作の実写版は、「キングダム」「ゴールデンカムイ」「沈黙の艦隊」「国宝」などヒット作を次々と世に放つクレデウスの新作でもある。

 講談社と原作権の交渉がキックオフしたのは2022年。司令塔の松橋氏がプレゼンで例に出したのはバスケがテーマのアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」だったという。

 「高校生がやるにしてはスーパープレーだけど、人間ができるスーパープレーとしてはギリギリのところを表現する。『SLAM DUNK』は非常に参考になって、こういうものを目指したいと話をしました。『少林サッカー』ではないです、と」

 すごすぎても白けてしまうが、すごくなければワンダーがない。攻めのバランスを肝に据えつつ、サッカー描写については役者が実際にプレーすることにこだわった。

 主演の高橋文哉は、役作りとしては異例の1年半に及ぶサッカー特訓を積んでからクランクイン。元日本代表の松井大輔氏が監修に入り、基礎から徹底的に技術を磨いた。

 「『よほどのカットじゃない限り基本的には全部自分でやってね』と練習してもらいました。周りの建物はCGですが、本人とボールと地面は本物です。前提として、『サッカーに関しては嘘がないようにしよう』というところからのスタート。『国宝』でも撮影前に役者が長い時間をかけて学んだ。それは絶対に説得力を持つんですよね」

 いわば、吉沢亮と横浜流星が歌舞伎の準備期間に1年半を費やした「国宝」のサッカー版。選手役の俳優たちは、期間こそさまざまだが、全員が高橋と同じような練習を積んで、実際にプレーしている。

 ロボットアームを使用したハイスピードカメラでの撮影でシュートシーンを再現するなど、特殊な撮り方も採用。松井氏が原作のコマでは描かれていない選手を含む「試合中に選手全員がどのように動いているか」をシミュレーションし、クライマックスシーンは1年前から別のキャストでテスト撮影を繰り返して臨んだという。

 海外でも台湾やブラジル、チェコなど、すでに25の国と地域での公開が決定。「我々としてはもう全身全霊ですごいものができたと自信を持っています。着々と世界公開も決まり、『ブルーロック』という巨大IPが世界に波及している。ここから花開かせ、もっと巨大なIPにしていきたいと思っています」。

 徹底した役作りで土台となる守備を固め、中盤の撮影へとパスを回す。練習の成果を生かしつつ、試合やシュートシーンでは特殊な技術も採用してゴール前へとボールを運び、日本のみならず世界へとゴールを決める-。4年をかけてドリブルしてきたビッグプロジェクトがついにベールを脱ぐ。

  ◇  ◇

 高橋らオファーで出演が決まった俳優以外の選手役は、オーディションで選ばれた。作品名を伏せ「サッカーが題材の大ベストセラーを原作にした大作」として各芸能事務所に募集を呼びかけたところ、書類選考だけで約1000人が殺到。演技だけでなく実際にサッカーをやってもらうなど運動神経の試験も行ったという。

 運命的な配役となっているのも今回のポイント。魅力的なキャラクターが多く登場するが、蜂楽廻役の櫻井海音、千切豹馬役の高橋恭平らは役名を伝える前から、のちに演じる役を推しキャラに挙げていたという。

 松橋氏は「本人が自分の中に似たものがあると感じていたんだと思いますが、我々がこれだと思ったキャラクター像と一致していた」とベストマッチを強調した。

 ◆松橋真三(まつはし・しんぞう)1969年8月18日。青森県出身。早大卒業後、94年にWOWOW入社。映画「バトル・ロワイヤル」でプロデューサーデビュー。2005年に独立し、18年にクレデウス設立。「銀魂」「キングダム」「ゴールデンカムイ」「国宝」など、手がけた全作品の興収累計は1000億円を超える。

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