被害者に向き合っていない印象ぬぐいされなかった 中居正広引退【記者の目】

 国民的グループSMAPの元リーダーでタレントの中居正広(52)が23日、芸能界からの引退を電撃表明した。昨年末に一部で女性とのトラブルが報じられ、今年に入り出演する全テレビ、ラジオ番組の終了と降板が決定。中居は9日にトラブルを事実と認めた上で、示談が成立していることから今後の芸能活動は支障がないとしていたが、それから2週間で芸能界から姿を消すことになった。

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 女性トラブルそのものはもちろんだが、中居の引退が一気に現実味を帯びたのは、9日に発表した声明文だろう。

 同文書でトラブルを事実と認めた上で、示談が成立していると公表。「今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」と記した。多大な違約金が発生しかねない事案を少しでも回避する意味合いもあっただろう。それでも、自らの今後の活動を正当化するような表現は大きなマイナスになった。

 SMAPが国民的グループとなった背景には、中居の類いまれな才能は欠かせなかった。親しみやすいトークや、愛するスポーツの啓発活動。被災地への義援金や炊き出しによる支援活動など、アイドルという枠に収まらない数多くの功績は変わらない。ただ、本トラブルに関しては、守秘義務で話せることが限られることは理解できるが、引退報告にあった「全責任は私個人にあります」という文言はフジテレビを含めた関係者を守る姿勢ともとれ、被害者に向き合っていない印象はぬぐいされなかった。

 今回の件から、改めてテレビ局と芸能界をとりまく関係性にも注目が集まる。民放各局が、出演者など芸能関係者と社員の関係性について独自で調査を行う方針を示したように、1人のタレントが起こした女性トラブルというフェーズは過ぎた。うみを出し切り、適切な関係を築くことができるのか。エンターテインメントに関わる全ての人々に、課題が突きつけられている。(デイリースポーツ芸能担当)

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