【山田美保子のミホコは見ていた!】「Destiny」石原さとみに出てきた貫禄「泉ピン子みたい」の声も
3年ぶりの主演で連続ドラマに復帰した石原さとみの「Destiny」(テレビ朝日系)。キャッチコピーは「時をへて、愛は、歪む。」で、5月14日の第6話放送を終え、石原と元カレ役の亀梨和也、そしてフィアンセ役の安藤政信の“愛”が文字通り歪みつつあるところだ。(以下、ネタバレあり)
番組HPによれば、21日放送の第7話では、真樹(亀梨)の主治医でもある貴志(安藤)の言葉で入院中の真樹に付きそうことになった奏(石原)だったが、目を覚ました真樹に「一緒に逃げない?」と誘われ、翌朝、病院を抜け出し長距離バスに乗る真樹に続いて発車直前、奏も飛び乗って……と記されている。
第6話のエンディングで、真樹と手を握りながら、揺らいでいた気持ちがどんどん真樹のほうへなびいていき、奏が自身の「罪」を予告した時点で想像がついた展開ではある。だが、真樹と“運命”の再会を遂げてしまった奏に対し、大学時代の仲間の一人、宮澤エマ演じる梅田(森)知美は「絶対、(真樹に)会っちゃダメだよ」と再三、釘を刺していた。フィアンセの貴志も、奏との“愛の巣”で真樹が倒れたことに不信感を募らせていたし、担当医師としての想いが絡まり合い、複雑な表情を浮かべることが増えていた。
奏は昔のことを忘れるよう強く促す母(石田ひかり)の存在も決して軽んじてはいないはずだった。当然、母は貴志との幸せな結婚に大賛成しており、そうした周囲の気持ちを知りながら、しかも検事という立場も忘れて真樹を追う……。これが自身で呟いた「罪」なのだろうか。
番組スタート前の予告映像では、祐希(矢本悠馬)やカオリ(田中みな実)を含め、大学の仲良しグループがはしゃいでいたことや、亀梨と田中の熱愛報道が一部で報じられたこともあり、ここまでドロドロしたドラマだとは思っていなかったのだが、そのカオリが第1話で亡くなるというまさかの展開。さらに、第5話あたりから、明らかに“本筋”に関わってきた感のある知美の夫・祐希(矢本)の動向も、おおいに気になるところである。
そんな折、ドラマ評論家らの間で言われているのが「石原さとみは貫禄が出てきた」だ。1日と8日放送された「週刊フジテレビ批評」の今期の「ドラマ放談」でも、辛口で知られる論客たちが「Destiny」と石原を高評価。なかでも、コラムニストの吉田潮氏は石原を「泉ピン子みたいになってきた」と……。貫禄ある演技派女優として成長したという意味だろう。
「Destiny」では、地味でおとなしかった大学時代と、真樹とラブラブだった頃、そして突然の別れ、貴志との婚約、真樹との再会、さらに真樹の担当検事となった今。アップになった石原の表情を見れば、都度、奏の想いは120%視聴者に伝わってくる。
第6話で個人的にもっともグッときたのは、疲労困憊で帰宅した奏が、知美が差し入れてくれた手作り弁当のお陰で貴志と共に食す、ささやかな幸せを紡ぐシーン。石原の表現力と演技力と貫禄が詰まっていたように思う。
17日には、7年前、石原が吉田恵輔監督に「今までの自分を壊してほしい」と懇願し、出演を直談判した主演映画「ミッシング」がいよいよ公開される。持ち前の華やかさを消すため、ボディソープで洗髪し、ダメージを与えたエピソードは既に有名だ。
その後、ショートカットにして挑んだのが「Destiny」。貫禄に加えて石原さとみの迫力の演技が見られる後半を楽しみたい。