ハ・ヨンス 朝ドラ「虎に翼」で朝鮮半島からの留学生好演 韓国で成功も憧れの日本へ「今、行かなければ永遠に後悔」

 韓国出身の女優、ハ・ヨンス(33)に注目が集まっている。現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」(総合、月~金曜、前8・00ほか)に第2週から登場。主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉=29)の同級生として朝鮮半島からの留学生・崔香淑(さい・こうしゅく)役を演じ、その好演が話題に。自身初となる日本のドラマ出演への思いを語った。

 日本での活動の一歩を踏み出した。数々のヒット作が並ぶ朝ドラへの出演に「『え、私でいいの?』って。日本語の演技経験はないから。不安とかはあったけど運命だと思った。私と似てるキャラだったし、一生懸命頑張るしかないって覚悟した」と心境を明かした。

 地元・韓国のドラマでは主演も経験。もともと日本のアニメなどが好きで、高校でもアニメーションを学んだ。スタジオジブリに憧れ、アニメ制作や漫画家を志していた時期もあり、日本に興味を持ち続けていた。そんな中、ネットショッピングのモデルをしていた際の写真が注目を浴びて21歳の時に韓国で芸能界入りし、女優となった。

 20代中盤の時にも日本行きを考えていた。だが当時は日本語ができず、韓国の事務所からも止められた。それから約10年間、一度はあきらめた思いを抑えていたところ「韓国で役者としてキャリアーを重ね、ふと考えるタイミングがあった。今かなって」。

 まずは独学で日本語に取り組み始め、数カ月で「めちゃくちゃ伸びた」。手応えを得て「今、行かなければ日本で活動しなかったことを永遠に後悔したまま生きていく。それは嫌だ」と決断した。来日当初の日本語は「小学生くらい」だったというが、日本の事務所と積極的に面接をこなして所属を勝ち取った。

 演技への向き合い方はストイックだ。撮影前には自分のセリフを繰り返し録音して正しい日本語発音と照らし合わせ確認する。身ぶり手ぶりも自分のスマートフォンで動画を撮って、試行錯誤して本番へ向かう。「チャンスに対して私は本当に自分の命をかけて頑張りたい。日本語も今より上手になっていつかは本当に日本人の役をしたい」と目標を掲げた。

 今回の朝ドラ撮影現場はまさに“女子校”だという。喉の調子が悪く声が出なかった際には、共演の桜井ユキ(37)に支えられた。「お茶とお薬をたくさん持って来てくださって『飲んでね』と。その場で泣きました。恵まれた雰囲気で撮影しております」と感謝した。

 朝ドラ出演を機にステップアップを果たした女優は数多い。「上までちゃんと上がって、真面目に演技をする。日本に来て人生の第2幕が始まった」。異国の地でつかんだチャンスから、大いなる飛躍を予感させた。

 ◆ハ・ヨンス 1990年10月10日生まれ。韓国・釜山出身。2013年に映画「恋愛の温度」の助演でデビューし、ドラマ「モンスター」では異例の主演級の配役。「リッチマン、プアウーマン」韓国版リメイク「リッチマン」で主演。趣味は油絵(21年個展@サンサンマダン)、歌、フィルム写真。身長160センチ。血液型B。

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