向井理が「超孔明!」絶賛の理由 「1人だけ時代劇でやってくれと」引き算の演技 フジ系主演ドラマ「パリピ孔明」
俳優・向井理(41)が神々しい輝きを放っている。9月27日にスタートしたばかりのフジテレビ系主演ドラマ「パリピ孔明」(水曜、後10・00)では、現代に転生した中国三国時代の名軍師・諸葛孔明を演じている。第1話では、その再現度の高さに、SNSは「超孔明!」と絶賛の嵐。“向井孔明”のハマリ役たる所以(ゆえん)に迫った。
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ソフトでよどみない語り口。凜(りん)としたたたずまいには、知性と芯の強さがにじむ。役衣装のまま現れた向井は“降臨”という言葉がぴったりなほどオーラに包まれていた。
東京・渋谷を舞台に、転生した孔明が歌手を目指す少女・月見英子(上白石萌歌=23)のため、“軍師”としてあらゆる戦術を駆使し成功に導く音楽サクセスストーリー。向井は「三国志の分厚い漫画も読んでいたし、孔明のこともある程度は知っていましたが、実在した人を演じるときには、その人物に対するリスペクトを持って臨んでいます」と天才軍師への敬意を口にする。
現代に紛れた孔明というコミカルな設定だが、「コメディーなんだけど、僕がボケてるわけではなくて。孔明が現代でやってることに対して、周囲の『何だそれ』っていうリアクションでコミカルが醸成されていくので、僕からやっていくとトゥーマッチになってしまう。そこはいつも意識していました」と絶妙な引き算の演技がユーモアを醸し出す。
「監督からの指示で、1人だけ時代劇でやってくれと。時代劇をやるとき気を付けているのは、聞きなじみのない言葉が出てくるので、セリフのテンポを落とすこと。そこが周りとの違和感というか、時代劇から1人、現代劇に紛れ込んできたコメディー要素につながっています」と解説。この丁寧な下地が「超孔明」を生み出している。
ライブシーンが多く盛り込まれ、キャストには有名アーティストがズラリ。歌手としても活躍する上白石をはじめ、関口メンディー(32)やロックバンド・女王蜂のアヴちゃんら、説得力あるパフォーマンスで存在感を放っている。
その化学反応も心地よいといい「同業者じゃない人と話したりお芝居したりすることってすごく新鮮で、いい刺激をもらえる。長いことやってると、セオリーどおりに勝手に体が動いちゃうところがあるんですけど、そういうセオリーみたいなものを彼らがぶっ壊してくれる」と説明。「アーティストの方たちは、カメラやカット割りのことってあんまり考えずに関係なくやってくる。こっちのアングルはこう…とか無意識に考えてる自分がいると、そんなこと考えなくていいんだなって。常に全力でやるべきだなって改めて思いましたね」と熱弁する。
孔明は伝説の計略「石兵八陣」など、あらゆる戦術を用いて英子をサポートするが、現代にも通じる戦略に「時代を問わず、人間の性質みたいなものって決まってるんだなと思う」と実感。「何かの本で読んだんですけど、1000年くらい前の本でも『今どきの若者は』って書いてあったんですよ。基本的には人間って変わってないんでしょうね」
06年にドラマデビューしてから17年。昨年40代に突入したが、「むしろ、41歳なのに“パリピ”をやってるっていう。逆に心境の変化を感じさせてもらえない仕事をしています」と笑う。「今回、孔明をやるって想像もつかなかったけど、選んでいただけたのは誇らしい。これから先、50代、60代とどうなってるのか分からないけど、こいつを使おう、そう思っていただける仕事をしていたい」。その道しるべとなる作品といえそうだ。
◆「パリピ孔明」 雑誌「ヤングマガジン」(講談社)で連載中の同名人気漫画の実写化。中国三国時代の名軍師・諸葛孔明(向井)が現代の渋谷に転生し、歌手を目指す1人の少女(上白石)を軍師のごとく成功に導いていく音楽青春ドラマ。
人気シンガー・西表ミアをダンサーの菅原小春(31)、歌って踊れるスーパーアーティスト・前園ケイジを関口メンディーが演じ、森崎ウィン(33)、女王蜂・アヴちゃん、ELLY(36)ら、多数のアーティストたちがキャストに名を連ねている。他に、森山未來(39)、ディーン・フジオカ(43)らが出演。
◆向井 理(むかい・おさむ)1982年2月7日生まれ。神奈川県出身。明大卒。06年に「白夜行」でドラマデビュー。NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でヒロインの夫・茂役を演じ注目を集める。「S-最後の警官-」「10の秘密」「婚活探偵」など主演作多数。11月3日から舞台「リムジン」に主演。趣味・お酒、料理、キャンプ。特技・サッカー。身長182センチ。血液型O。妻は女優・国仲涼子。
