喜多條忠さんがデイリースポーツ記者に残した金言「実感のこもらない文章は人に伝わらない」

 日本作詩家協会名誉会長で作詞家の喜多條忠(きたじょう・まこと)さんが肺がんのため、22日に74歳で亡くなったことが30日、分かった。ボートレースの実況アナウンサーから記者へ転身したデイリースポーツレース部・野白由貴子(のばく・ゆきこ)が作詞家、ギャンブラー、そして人間として尊敬した喜多條忠さんへ追悼文を寄せた。

   ◇   ◇

 私にとって喜多條先生は、大物作詞家ではなくボートをこよなく愛する大きな人。23年前、住之江ボートのFMラジオにゲスト出演されていた当時に知り合った。いや、一方的に先生の歌詞が好きだった私が、放送席に乗り込んで行ったのだ。

 デイリースポーツでボートのコラムを書き始めたばかりの、何者でもない私に、先生は大きな世界を見せて下さった。大阪に来られると、「飢え死にしてないか」と先生を囲む宴席に呼んで下さり、おいしい物をごちそうになった。からつ、とこなめでは焼き物の里。大村ボートでは長崎のグラバー邸。各地の名所を案内して下さり、ボートの旅打ちの面白さを教えてもらった。幼年期、体が弱かった先生は辞書が友達。歩く百科事典のように何でもご存じだった。

 ボート三昧の日々を送られていた時期もあったが、晩年は本業の作詞家として腕を振るわれ、数々の賞を受賞されている。紅白歌合戦で五木ひろしが歌った『凍て鶴』は「ノバック(野白)のことを思って書いたよ」と告げられ驚いた。

 2年前には岡山に来ていただき、先生の盟友・黒明良光氏(元ボートレーサー)との対談を記事にさせてもらった。思い出は尽きない。先生に教えられた「実感のこもらない文章は人に伝わらない」。その言葉を胸に書き続けます。心からご冥福をお祈り致します。(デイリースポーツ児島ボート担当・野白由貴子)

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