NEWS加藤シゲアキ「吉川英治文学新人賞」受賞 アイドル初の快挙「やっぱうれしい」
作家としても活躍するNEWSの加藤シゲアキ(33)が2日、最新長編小説「オルタネート」で「吉川英治文学新人賞」を受賞した。この日、都内で行われた「吉川英治文学賞」選考会を経て、記者会見で発表された。その年に優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性ある新人作家に贈呈される賞で、アイドル初の快挙。武田綾乃氏(28)の「愛されなくても別に」との同時受賞となった。
カジュアルなスタイルで会見場に現れた加藤は、無数のフラッシュを浴びながら「率直に驚いています。今だんだんと実感がわいてきて、やっぱうれしいよなと。(選考委員の)伊集院静さんが『こういう時はとにかく喜べ』とおっしゃったので、頑張って喜ぼうかな」とはにかんだ。
この日はジャニーズ事務所で待機。緊張と隣り合わせの中、電話で吉報を受けた。2012年に「ピンクとグレー」で作家デビューし、6作目となる「オルタネート」で自身初の青春群像劇に挑戦。直木賞、本屋大賞と共にノミネートされた「吉川英治文学新人賞」で、ついに“初タイトル”を手にした。
人気アイドルと小説家の二足のわらじが注目を浴びてきた一方、人知れず葛藤も抱えてきたという。
「僕はジャニーズ事務所のタレントという立場で小説を書かせていただいて、すごく光栄なことでしたけど、ある種、コンプレックスみたいなものがあった。一般的にいうと新人賞とか受賞してからスタートするもので、僕は横入りしたような感覚がすごくあって」
だからこそ、作家や出版社など文芸界から受けた温かい歓迎を、身に染みて感じたという。「この受賞で少しは恩返しができたのかな、ここがスタートかなと思っています」と神妙に語った。
喜びを最も伝えたい人として、2019年7月に死去したジャニー喜多川前社長を真っ先に挙げた。「11歳でこの世界に入って、物語は作ることができるということを僕の前で最初に体現した人」と加藤。また、「僕に小説を書くよう勧めてくれた人」として藤島ジュリー景子社長(54)への感謝も口にした。
今後も「今までのように、歌って踊る日があって、書く日があってという感じ」と、二刀流は継続する。作家としては「直木賞を逃して、正直悔しいと思ったし、『だったらやってやろうじゃないか』という思いもある」ときっぱり。わき上がるエネルギーを、執筆への情熱につなげる。