藤井七段に魔王の壁 最年少戴冠お預け「ミス出てしまったのは実力」

 将棋の藤井聡太七段(17)が、渡辺明三冠(36=棋聖、棋王、王将)に挑戦する第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局が9日、東京・都市センターホテルで指され、渡辺三冠が142手で勝利。通算成績を1勝2敗とした。史上最年少でのタイトル獲得に王手をかけていた藤井七段は、先手で得意の角換わり腰掛け銀を採用したが、中盤に細かいミスが出て無念の敗戦。最年少タイトル獲得は16日に大阪市の関西将棋会館で行われる第4局に持ち越しとなった。

 現役最強棋士・渡辺三冠による“魔王の壁”は、やはり高かった。一気の3連勝で、17歳11カ月の史上最年少タイトル獲得が期待されたが、快挙達成はひとまずお預けに。藤井七段は「そうですね…。こちらの玉形が見慣れない形だったのでまとめ切れなかった」と完敗を受け止めた。

 過去2局は渡辺三冠を圧倒し、6月28日の第2局では「一気にバタバタとダメになってしまった」と嘆かせた。だがこの日は中盤から徐々にリードを広げられ、最後は自玉が即詰みに討ち取られるという、前局とは真逆の形で敗北を喫した。

 棋聖戦と王位戦を並行して行い、さらに順位戦、竜王戦と重要な対局がめじろ押し。8日の前日検分では「対局は多いですけど、状態を崩さずに維持できている」と気丈に話した。だが、今月1、2日の王位戦第1局で初の2日制戦を経験し、終局後は「体力的なところも気をつけないといけない」と語ったように、やはり疲労の色は隠せなかった。

 この日は入室後、早い時間に羽織を脱ぎ、マスクを外した。昼食休憩時には、記録係に室温を下げてもらうように依頼。昼食前に70手以上が指される超急戦の中、ちょっとした温度の差も影響を与えたのか…。堅実無比だった指し手にわずかに狂いが生じた。

 これでタイトル戦初黒星。先手番の角換わりでは、昨年7月23日の第32期竜王戦挑戦者決定戦・豊島二冠戦で敗れて以来14連勝中だったが、こちらもストップした。タイトルに王手をかけた重圧を問われると「自分としては普段通り指せた。ミスが出てしまったのは実力かな」と淡々と振り返った。

 13、14日には北海道・札幌市で王位戦第2局、1日空いて16日には大阪で棋聖戦第4局と、殺人的スケジュールは続く。それでも「今日の将棋を反省して、次に生かすことができたら。第4局がすぐあるので、いい状態で臨めるようにしたい」と語ると、感想戦では笑顔も。最年少タイトル獲得記録への挑戦に向け、切り替えは完了していた。

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