12歳長女に犯行手伝いや離婚届サイン 茨城県の夫殺害事件初公判で衝撃の事実判明 小川泰平氏が解説

 昨年、茨城県かすみがうら市のアパートで会社員・氏家昇さん(当時33)を殺害し、遺体をモルタルで固めて自宅クローゼットに隠した殺人・死体遺棄罪などで起訴された妻・氏家美穂被告(45)の初公判が26日、水戸地裁で行われ、検察側が公開した供述調書によって、同被告が当時12歳の長女に犯行を手伝わせようとしていたことが明らかになった。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は同日、デイリースポーツに対し、独自取材を元に、事件の背景を解説した。

 美穂被告は昨年2月、自宅で昇さんの首を携帯電話の充電器コードのようなもので絞めて殺害、遺体をモルタルで固めて自宅のクローゼットに隠した疑い。7月に離婚届の有印私文書偽造の疑いで逮捕されるまでの約5か月間、長女と4歳の双子の長男、次男と同じ部屋で暮らしていた。

 初公判で同被告は起訴内容を全面的に認めた。検察側は冒頭陳述で、昇さんが会社から預かっていた金を美穂被告が使い込み、浪費癖から借金が重なっていたことを責められて犯行に及んだと指摘。さらに、長女を犯行に巻き込んだと主張した。一方、弁護側は日々のストレスが事件の背景にあったとした。

 小川氏は「ご主人が500万円を会社の組合から預かっていたのを美穂被告が勝手に使った。返済できず、夫が使い込んで失踪したということを装うために殺害し、警察に行方不明届を出し、その後で離婚届を出す準備をしていた。それによって子供3人の児童扶養手当をもらうことも含まれている」と経緯を説明した。

 行方不明届は3月9日に出されたが、同28日に市役所に離婚届を提出。「行方不明届を提出する際の事情聴取の時点で警察は違和感を持っていた」(小川氏)ことから捜査が始まった。離婚届のサインは昇さんでも美穂被告でもない、第三者の筆跡であることが判明した。まず7月に有印私文書偽造で逮捕し、家宅捜索で夫の遺体が発見され、殺人の疑いで9月に逮捕された。離婚届の昇さんの署名は12歳の長女に書かせていたことが初公判で明らかになった。

 小川氏の取材によると、同被告は昇さんとは3度目の結婚。同氏は「近所の方に話を聞くと、美穂被告は質素で毎日のように同じ服を着て、双子の兄弟を自転車の前と後ろに乗せて幼稚園に送り迎えしていた。ただ、ブランド品の子供服を買い込むなど金遣いは荒かった」と明かす。

 初公判では長女の存在がクローズアップされた。離婚届の署名だけでなく、検察側の供述調書では、美穂被告が夫の殺害前、長女に対し、首を絞める想定で、寝ている昇さんの首の下の状況を確認するように指示したという。また、階段から突き落としたり、瓶で頭を殴るジェスチャーを長女に示していたという。長女は「心が『無』だった」などと話していることが検察側の供述調書で明らかになった。さらに、10歳頃まで長女の出生届が出されていなかったことも初公判で分かった。

 小川氏は「長女の娘さんは今、中学生になっていると思うが、今後、心のケアが必要になります」と気遣った。判決は7月5日の予定。

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