脳死移植番組でTBSなど提訴 ドナーの1歳男児の両親に事前連絡なし
2017年5月に岡山大病院で実施された脳死肺移植手術を密着取材したTBSのテレビ番組に強い精神的苦痛を受けたとして、脳死判定を受け肺を提供した男児=当時(1)=の両親が18日、TBSや病院、日本臓器移植ネットワークなどに計約1800万円の損害賠償を求め、広島地裁に提訴した。
訴状によると、番組は17年7月に全国放送された。広島県在住の両親には事前に連絡はなく、手術した日などの情報から知人らに男児が特定されかねない内容だった。
手術を撮影した場面では肺がモザイクなしに映っていた他、執刀医が「軽くていい肺」などと配慮を欠く発言をする姿も放送され、「わが子を静かにしのぶ権利やプライバシーが侵害された」と主張。日本臓器移植ネットワークについては、両親の心情への配慮や情報管理の徹底を怠った注意義務違反があるとしている。
TBSは「訴状を受け取り次第、内容を精査して対応を検討する」、岡山大病院は「ドナーのご家族に心痛を与える結果となったことは誠に遺憾。内容を精査し、適切に対応する」とコメントしている。日本臓器移植ネットワークは「具体的な内容が分からないためコメントを差し控える」とした。