尺八、チェロ、ピアノのトリオ「古武道」 大阪・新歌舞伎座で「忘年会」

古武道の(左から)古川展生、妹尾武、藤原道山
尺八を手にする藤原道山=大阪市内
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 尺八の藤原道山、チェロの古川展生、ピアノの妹尾武によるトリオ「古武道」が22日、大阪・新歌舞伎座でコンサート「古武道忘年会『師走の協奏曲』Vol.10」を行う。その5日前の17日には藤原が音楽を担当した女優・三田佳子主演の朗読劇「九十歳。何がめでたい」も同座で上演される。来阪した藤原に、両公演への思いを聞いた。

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 藤原は「琴をやっていて、和楽器の音が常に流れている家」に育ち、人間国宝の初代山本邦山に師事した。

 クラシックとの共演、木村拓哉主演の映画「武士の一分」での演奏、三谷幸喜や野村萬斎演出の舞台、スーパー歌舞伎の音楽など、邦楽の枠を超えた活動を続け、海外公演も積極的に行っている。古武道の他にもマリンバのSINSKEとのユニットや、尺八だけのアンサンブルなども組み、母校の東京芸大では専攻講師として後進を指導する。

 多彩な活動について、藤原は「先生(邦山)が尺八の新しい世界を切り開いてきたパイオニアで、背中をずっと追ってきたところがありました。それがまた面白かった。尺八ってかっこいいし面白いと思ったのが師匠の演奏を聴いてで、自分もそうなっていきたいという思いは常にありました」と、ジャズや映画音楽などに進出した師の影響を明かす。

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 「古武道」とはいかめしい名前だが、実は3人の名前から1字ずつ取って妹尾がネーミングしたもの。藤原のアルバムに妹尾が参加したり、妹尾の大学の後輩である古川が妹尾のアルバムに参加したり、藤原と古川が同じレコード会社だったりと縁が重なり、「音楽家主導で」結成した。

 2007年にデビュー後はTBS「ニュース23」やテレビ東京「ソロモン流」といった人気番組のテーマ曲を手がけたり、インストにとどまらず歌手の今井美樹、高畑充希、なぎら健壱らとコラボしたりするなど幅広く活動している。

 純邦楽、クラシック、ポップスと出自が異なる3人だけに、音楽性も「ジャズ的、クラシック的、ポピュラー的…オリジナルもやるし、ボーダーレスな感じ」の「古武道サウンド」としか表現できないもの。藤原は「3人ともメインでやっていることが違う。それをお互いに持ち寄ることで作る。2人から影響を受けるし、2人への影響もあると思う」と、古武道サウンドの成り立ちを説明する。

 「忘年会」は5回目から大阪に拠点を移し、今回が10回目。「妹尾が神戸、古川が京都出身で、僕も4分の1が大阪」という古武道にはホームリングでもある。メンバーゆかりのゲストを必ず招いており、今回は古川の人脈で「会いたい」の沢田知可子と、NHK大河ドラマ「真田丸」のテーマ曲を演奏し、紅白にも出場した人気ヴァイオリニストの三浦文彰が出演する。

 藤原は「オリジナルがあったり、色んなシーンで作ってきた音楽があったり、クラシックやジャズの作品があったり、ゲストのお2人とコラボレートしたり、お話ししたり。会話と共に音楽を楽しんでいただきます」と、カラフルで楽しい“忘年会”を約束した。

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 朗読劇「九十歳。何がめでたい」はミリオンセラーとなった佐藤愛子氏のエッセー集が原作で、演出は石井ふく子氏。佐藤氏は95歳、石井氏は92歳という驚異の90代コンビによる作品だ。

 藤原は「佐藤先生、お元気なんですよ。お会いしたら背筋がピーンとして、言葉もはっきりしゃきっとされて、きれいなんですよ。石井先生もお元気で、僕が逆に元気をもらって」と、2人の熱量に圧倒されたという。

 三田は今年77歳になったが「喜寿には全然見えない」といい、「皆さん若々しくて、そういう方々とお仕事をさせていただいて、自分自身が知らないこと、今の人じゃ分からないことをよくご存じで、自分にとっても大きな経験になりました」と、46歳の藤原には得るものの多い仕事だったようだ。

 東京公演を見た藤原は「三田さんがコノヤローとかバカヤローとか言うんですが、三田さんのこういう言葉を聞くのは初めてだったので新鮮でした。パワーがすごくある。笑いもあり、ホロッと来るところもあるところが非常に面白い。井上順さん、石野真子さん、高田翔くん(ジャニーズJr.)が踊ったりもする。ただ朗読されるだけじゃなく、色んな要素があって、人物が本から飛び出してくる感じで面白かったです。読んでいる時に想像していたことがフッと表れるとか」と、できばえを保証した。

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