新派「犬神家の一族」 金田一耕助は生もじゃ頭「お金も手間もかかっています」

 新派11月特別公演「犬神家の一族」のアフタートークショーが7日、大阪松竹座で行われた。同作は横溝正史原作のミステリー小説が原作で、76年に市川崑監督で映画化、77年にドラマ化され大ヒット。新派らしく、謎解きだけではなく、人間の業や悲しみをキッチリと描き、舞台化した。

 私立探偵・金田一耕助役の喜多村緑郎は「昨年11月から伸ばし始めた」という地毛で、特徴的なもじゃもじゃ頭を実現。「力士も新弟子だと(結うのに)2年かかるというのが良く分かった。(長髪は)お金も手間もかかっています」と笑わせた。物語の筋にグイグイと入っていくというより、一歩退いたところで物語を紡いでいく。口跡も良く、舞台映えする容姿で、出てくるだけで圧倒的存在感をみせた。

 犬神家三姉妹の長女・松子役の波乃久里子は「佐武(すけたけ)と佐智(すけとも)の名前を間違え、慌てて被せて言い直しました。御稽古場でも間違えて、『僕、佐智です!』と言われていたんですけど」と苦笑い。三女の梅子役には歌舞伎から転身した河合雪之丞。「ヒステリックで悪の部分を出した」と人間の邪悪な部分をコケティッシュに演じ、人間の怖さを浮き出した。

 謎の多いお琴の師匠・宮川香琴を演じる水谷八重子は「映画などでは1シーン出てくるだけ。でもこのお芝居ではしっかり描かれ、ある意味一番悲惨な役」と振り返った。

 また松子の息子・佐清(すけきよ)と青沼静馬役のジャニーズの浜中文一は、劇中で被る白いマスクについて「柔らかいものや硬いもの、いろいろ試しました。稽古場では全然大丈夫!と思っていたけど、本番では暑くて」と苦笑い。戦争で顔にケロイド状の傷がある役のため、傷のシールを貼った跡がかぶれてきたことも明かした。

 さらに原作で「絶世の美女」として描かれた野々宮珠世役に、歌舞伎俳優・尾上松也の妹で新派期待の春本由香と、女方の河合宥季が役替わりで演じている。

 物語はテンポよく進み、観客を飽きさせない。映画のポスターにもなった佐清の白いマスクや、湖からにょっきり突き出た2本の脚なども、忠実に再現。特に2本の脚は、劇場の機構をうまく使い、観客からも悲鳴と驚きの声が上がったほど。ラストシーンの犬神家三姉妹はそれぞれ名前にちなんだ松・竹・梅模様の留袖をまとい、華やかな幕切れで、上質なエンターテイメントに仕上がっている。

 大阪松竹座公演は10日まで。東京・新橋演舞場は14~25日。

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