NHKが岡村隆史ANNスタジオ「完コピ」 ニッポン放送から見たコラボの未来

 NHKとAMラジオのニッポン放送が今月3日深夜、一夜限りのコラボレーション放送を行った。音楽番組「シブヤノオト」と深夜ラジオ「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン(ANN)」によるもので、ツイッターを中心に、両番組のファンは盛り上がったが、人知れずの苦労もあった。8日に行われたニッポン放送の定例社長会見での発言を元に、テレビ・ラジオ間のコラボ放送の裏話や今後の可能性について探った。

 3日深夜、一足先に0時58分から「シブヤノオト」が始まり、深夜1時ちょうどから「ANN」がスタート。「シブヤノオト」のゲスト・東京スカパラダイスオーケストラが、「ANN」伝統のテーマソング「ビタースウィートサンバ」を生演奏し、豪華なムードでコラボ企画が幕を開けた。

 初のコラボ放送とはいっても、番組内容はシンプルなもので、ANNの放送スタジオにいた岡村が「シブヤノオト」のゲストによる歌唱パートの合間にあるトーク部分に絡み、“念願だった曲紹介をやらせてほしい”とせがんでは、「シブヤノオト」MCの徳井義実(チュートリアル)と渡辺直美に拒否され何度もすねる、という流れで番組は進行した。最後に、東京スカパラダイスオーケストラの出番を迎えた際に「面と向かってご挨拶させていただきたい」と突然言いだした岡村が、スタジオの壁を突き破って「シブヤノオト」のスタジオに乱入。実は岡村はニッポン放送ではなくNHK局内にいた、というサプライズが大オチとなった。

 この「実は岡村がNHK局内にいた」部分を演出するために、NHKのスタッフは事前にニッポン放送のスタジオを見学し、NHK内にセットを構築した。実際の映像にはほとんど映らない地震が発生した際の心構えを書いた注意書きまで再現して、ニッポン放送の節丸雅矛編成部長を「完コピ」とうならせる再現ぶりだった。

 両局には数年前から現場レベルの交流があったといい、NHKは「若年層の取り込み」、ニッポン放送は「幅広いリーチ拡大」の狙いがあった。さらにコラボ放送は深夜2時に終了したため、2時から3時までの1時間はテレビを見ていた人がラジコでANNを聴く、というニッポン放送にとっての流入効果を得られた。松浦大介編成局長は、実数は明らかにしなかったものの「数字は倍以上に伸びた。リーチ拡大の戦略としては成果があったと思います」と語っている。

 ただ、それならばどんどんコラボをすればいいか、というとそうもいかない。冒頭の「ビタースウィートサンバ」はスカパラの演奏を「テレビ向けに」見せるため、長い時間が取られラジオとしては若干、だれた空気が流れた。この点ではニッポン放送側としては「早くキューを振りたい」と思う人もいたという。岡村が「シブヤノオト」のスタジオに乱入する、というくだりでも、作り物の壁を突き破ったり、すぐ隣にある喫茶店を出てきたりといった“映像ありき”の場面や演出も多く、いつもの「ANN」よりも純粋に面白さが上だったか、と言われると意見が分かれるだろう。

 同時間帯でツイッター上のトレンドが1位になり、ラジオリスナーのワクワク感は多く集めた。テレビとラジオ、CMのあり・なしといったメディアの特性も乗り越え、1時間にきれいにまとめ込んだという制作上の技術の高さも相当なものだった。森谷和郎専務が「一緒にやることが大事」と語るように、今回ははじめの一歩。現場では「ニッポン放送とNHKさんに加えてイベントを絡めて連動をはかれないか」と次を目指した話題で盛り上がっているという。

 節丸編成部長は、岡村の乱入については「ラジオのリスナーだけにうまくばらしていけたり、というのがあると、ラジオ側からはいたずらを仕掛けた感じになったのになあというのが反省材料としてありました」と振り返った。もともと何が起こるか分からない“解放区”的な要素が深夜ラジオの魅力の一つ。ラジオを聴かなければ分からない“お楽しみ”が、今後のコラボ発展のカギになるかもしれない。

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