阪神・淡路大震災23年 鎮魂と継承願い黙とう 雨中、追悼式典や防災訓練

 雨の中、火が消えないようにろうそくをともす女の子=神戸市長田区若松鷹取公園(撮影・岡本好太郎)
 犠牲者の名前が刻まれた慰霊碑前で手を合わせる人たち=兵庫県西宮市 
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 6434人が亡くなった阪神・淡路大震災は17日、発生から23年となり、兵庫県内各地では雨の中、市民らが鎮魂と記憶の継承の願いを込め、黙とうをささげた。南海トラフ巨大地震など将来の自然災害への懸念も広がる。世代をまたいで震災の経験や復興への歩みを引き継いでいくことができるかが課題となっている。「この経験を忘れてはいけない」と多くの人が炊き出しや、災害に備える訓練にも参加した。

 静寂に包まれた暗闇に、降りしきる雨音だけが響いた。17日午前5時46分、兵庫県内の各被災地では、地震発生時刻に合わせ、多くの人が黙とうをささげるなど、祈りの一日となった。

 神戸市中央区の公園「東遊園地」には約7千本の竹灯籠で「1995 伝 1・17」の文字が描かれた。同所で行われた追悼の集いでは、同市須磨区の在日コリアン2世崔敏夫さん(76)が遺族代表として、次男秀光(スグァン)さん=当時(20)=を失った悲しみを述べ、「安心して住みよい町づくりを目指し頑張るのが息子のため」と訴えた。神戸市の久元喜造市長は、震災を教訓に「防災や減災に貢献し続けたい」とあいさつ。

 当時20歳の長女を失った佐用町の児童養護施設指導員上野政志さん(70)は、犠牲者の名前が記された銘板に花を手向け「思いは今も同じ。生きていてほしかった」とつぶやいた。遺族や地元住民のほか、東日本大震災の被災地から訪れた人もいた。中央区内では兵庫県など主催の追悼式典も行われ、井戸敏三知事が「決して風化させない」と強調した。

 大火が襲い大勢の犠牲者が出た神戸市長田区では、自宅や仲間を失った高山菊栄さん(72)が「23年間、無我夢中だったが、やっとゆっくり振り返れるようになった」と涙を流した。

 西宮市民会館では女優の竹下景子(64)が全国から寄せられた震災体験の詩を朗読。約850人が伝える決意を新たに。東灘区の教会で行われた追悼集会では、弟(当時22)を亡くしたゴスペル歌手森祐理が賛美歌を歌い、「時が癒やすものではないが、弟の死があって今立つことができる」と前を向いた。

 地震発生時に身を守る行動を確認する「シェイクアウト訓練」や緊急用道路をたどる「1・17ひょうごメモリアルウォーク2018」も行われた。

 震源となった野島断層が保存されている兵庫県淡路市の北淡震災記念公園でも追悼式が開かれ、遺族ら約200人が参列。淡路島での犠牲者数と同じ63本のろうそくに火をともし、公園の池に浮かべて手を合わせた。

 雨の中、発生時刻に黙とう。復興のシンボルとなった歌「しあわせ運べるように」を合唱した。震災で亡くなった母の年齢を今年で超えるという淡路市のパート職員大上裕子さん(66)は「残された人生で、母親の分も一日一日を大切に生活していきたい」と静かに話した。初めて参列した同市の高校1年高田菜々子さん(16)は「23年たった今でもたくさんの人が集まっていて、みんな忘れたくないという気持ちを持っているのだと感じた」と真剣な表情だった。

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