日本代表「HAKUTO」探査車 資金難でロケット打ち上げめど立たず
IT大手のグーグルが主催する民間初の月面探査コンテスト「Google Lunar PRIZE」に参加している日本チームの「HAKUTO(ハクト)」が、3月末の期限内に月面探査できない見通しとなったことが11日、分かった。探査車の月への輸送を依頼したインドチームの資金難でロケット打ち上げのめどが立たなくなったため。この日、代表の袴田武史氏が会見し「主催者に期限の延長を求めるなど、あらゆる可能性を探る」と挑戦を続ける考えを示した。
月にいるとされるウサギから名付けられた“白兎(ハクト)”。月へひとっ飛びする直前に、踏み台を外されてしまった。
ハクトの探査車はインドチームが契約したインド宇宙研究機構のロケットに相乗りする計画だった。しかしインド側の資金難と開発の遅れなどから、インドチームと同機構の調整が難航。期限内でのロケットの打ち上げが不可能になったという。
コンテストはグーグルが出資して、07年9月にスタート。18年3月末までに月面に送った探査車を500メートル以上移動し、高解像度の画像、動画などを地球に送信するなどの課題を最も早く達成したチームに賞金2千万ドル(約22億円)が贈られる。
当初は世界各国の34チームが参加していたが、資金不足などによる撤退や他チームとの合併をへて、最終的に22チームが参戦。17年1月、ハクトとインド、米国、イスラエル、多国籍の5チームが最終フェーズに進むと発表された。
ハクトは優勝候補の一角とされ、スタッフが昨年12月にインドに渡り、打ち上げ準備を行っており、テレビ番組でも特集されていた。ハクト側は、レース期限の延期を打診しながら、3月以降の月面到達を目指すという。
ハクト以外のチームも打ち上げの具体的な日程を公表しておらず、期限内に課題を達成できるチームがあるかは不透明だ。
袴田代表は「HAKUTOのモットーは『「夢みたい」を現実に。』です。どんな困難があっても歩みを止めずにいれば、解決案は出てきます」とコメントを発表した。