それぞれ二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎を襲名する歌舞伎俳優の松本幸四郎（７５）、市川染五郎（４４）、松本金太郎（１２）が１１日、東京・浅草で、襲名披露興行「壽　初春大歌舞伎」（１月２～２６日、東京・歌舞伎座）、「二月大歌舞伎」（２月１～２５日、同）の成功を祈願した。３人は参道を練り歩き、浅草寺で襲名報告法要を行った。

　三代同時襲名は３７年ぶり。話題性十分とあって、約１万５０００人の見物客が集まった。３人はおはやし、木やり、芸者衆ら総勢８０人で列を作り、笑顔で手を振りながら雷門から浅草寺本堂までを歩いた。抜けるような青空の下、沿道からは「高麗屋（松本家の屋号）」のかけ声がかかった。幸四郎は「師走にしては温かい日となりました。皆さまのお心そのものでございます」と感謝した。

　幸四郎は約４０分間のお練りの最中、何度も肩をたたかれ「頑張って」と声援を受けたといい「歌舞伎は皆さまの中から生まれたんだと感じました。忘れられない日になりました」と感激の面持ち。染五郎は「高麗屋、こうりゃいや…こりゃいいや、と言われるよう精進します」とちゃめっ気たっぷりに期待に応えることを約束した。

　１月からは新しい名前となるが、染五郎は「“染五郎”と呼ばれたら、まずぼくが振り向きそうですね」と苦笑い。金太郎は「“染五郎”といえば自分、というふうに思っていただけるよう精進します」と決意を示した。