英中部マンチェスターで２２日午後１０時半（日本時間２３日午前６時半）ごろ、若者に人気の米歌手アリアナ・グランデ（２３）のコンサート会場で爆発があり、子供を含む２０人以上が死亡、５０人以上が負傷した。地元警察は２３日、会場で起爆装置を持った男１人が死亡したと明らかにし、男による自爆だったとの見方を示した。過激派組織「イスラム国」（ＩＳ）は、ネット上に「イスラム国の兵士の１人」が実行したと声明を発表した。一方、アリアナはツイッターで「心が引き裂かれそう。言葉がありません」とつぶやいた。

　熱狂のライブから一転、惨劇の舞台となった。会場は市街地にある屋内競技場「マンチェスター・アリーナ」。会場と直結するビクトリア駅をつなぐロビーにある、チケット売り場付近で爆発が起きた。会場を出ようとした観客らが巻き込まれた。

　爆発による死者は子供を含む２０人以上、負傷者は５０人以上という。コンサートには１０代の若者が多く訪れていた。同アリーナは１９９５年にオープンした欧州最大の屋内競技場。約２万１千人収容の会場でチケットは完売していたという。

　アリアナは無事だった。２０１３年のデビュー以来、世界中にファンを持つ歌姫は、ファンに多数の死者が出た今回の事態に激しいショックを受け、ツイッターで「心が引き裂かれそう」と吐露した。

　「イスラム国」は２３日、ネット上に犯行声明を出した。実行犯が「十字軍の集会」に手製爆弾を仕掛け、約１００人を死傷させたと主張。「イスラム教徒の土地への侵略」に対する返答だと述べた。

　メイ英首相はロンドンの官邸で緊急会合を開催後、「無慈悲なテロと疑いようがない」と声明を発表した。「若者たちを標的にした卑劣な犯行だ」と強く非難した。６月８日に行われる下院総選挙の運動は一時中断される。

　英国では２００５年、市民５２人が犠牲となったロンドン同時テロが発生。今年３月にはロンドンの国会議事堂周辺で男が警官らを襲撃するテロも起きている。