女優・寺島しのぶ（４４）の長男・寺嶋眞秀＝まほろ＝くん（４）が３日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「團菊祭五月大歌舞伎」（２７日まで）に出演、舞台初お目見えを果たした。昼の部の「魚屋宗五郎」で酒屋丁稚与吉（さかやでっちよきち）を堂々と演じ、会場を魅了した。見守っていた母・寺島も「お客さまの拍手で涙が出てきました」と感激。息子の歌舞伎デビューを喜んだ。

　日仏ハーフの歌舞伎俳優が歌舞伎座で堂々のデビューを飾った。

　角だるを持った眞秀くんが花道に姿を現すと、会場からは大きな拍手。「ごめんくださいまし。お客さまから、お使いものでございます」。はっきりとした口調での最初のせりふを言うと、歓声も起こった。

　主人公・宗五郎を演じた祖父・尾上菊五郎（７４）に角だるを届け、家の前で待つシーンでは、笑いをこらえるような表情を見せた。実は客席に親友の姿を発見していたそうで、寺島は「わたしはそんな余裕ない」と、息子の舞台度胸にビックリ。菊五郎とせりふのやり取りはなかったが、同じ舞台上での“共演”も実現した。

　ハラハラしながら息子を見守った寺島は「お客さまの拍手で涙が出てきました。手をたたいていただいて感動しました」と息子の歌舞伎デビューに感無量。自分と同じ演技の道に足を踏み入れたが、「（出来栄えは）わからない。親からするとどうなんでしょう。無事に済んだんで…６０点くらい？」と同業者として冷静に見ることはできないようだった。

　眞秀くんの父でフランス人アートディレクターのローラン・グナシア氏も「涙がでました」とジーン。祖母で女優の富司純子（７１）は「大きな声が出てたのでほっとしました」と目を細めた。眞秀くんは終演後に、「あしたはもっと大きな声を出す！」と意気込んでいたそう。音羽屋の次世代スターは可愛らしく、前向きに歌舞伎道を歩み始めた。