映画界最大の祭典「第８９回アカデミー賞」授賞式が２６日（日本時間２７日）、米ハリウッドのドルビー・シアターで開催された。外国語映画賞にはイランの「セールスマン」が選ばれたが、アスガー・ファルハディ監督は授賞式を欠席しており、直接オスカー像を受け取ることはなかった。

　ファルハディ監督は、ドナルド・トランプ米大統領が出した、イスラム国家７カ国への入国制限措置に抗議。事前に、主演女優のタラネ・アリドゥスティとともに授賞式をボイコットすることを表明していた。

　この日は代理で登壇した女性がファルハディ監督のメッセージを読み上げた。「今日は出席することができずに申し訳ありません。世界を私たちと敵に分けてしまうこと、これは恐れを促すことです。そして戦い、恐怖を促します。人権、民主主義が高まった国でも恐怖を促します。そういうステレオタイプをさまざまな形で壊していく。これが映画なのです。わたしたちと敵の間での同情の気持ちを促していくことが大切なのです」。ファルハディ監督の強いメッセージに会場からは大きな拍手が送られた。

　ファハルディ監督は「別離」で２０１１年にも同賞を受賞しており、２度目のオスカー獲得となった。