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猫ひろし 五輪切符つかめたワケとは

 カンボジアで行われたリオ五輪代表選考大会で優勝した猫ひろし=8日
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 タレント・猫ひろし(38)が国籍を取得したカンボジアの男子マラソン代表選手として、リオ五輪出場を決めた。2012年ロンドン五輪でも一度は選出されるも、国際陸連が参加資格を満たしていないと判断したため、出場断念。夢舞台への挑戦を表明した5年前から追い続けた取材ノートをめくると、『アスリートとしての熱意』『人間としての苦悩』が読み取れた。近しい関係者もあらためて取材。ロンドン落選を乗り越えて、猫がリオ切符をつかめた“ワケ”が分かった。

 破天荒なチャレンジが本格的に始まったのは、11年6月21日、東京・駒沢にある雑居ビルの一室からだった。当時はまだ、本気かネタか、判断しかねる状況。それほど多くはない報道陣の前で、カンボジアへの帰化申請書類を提出したことを発表した。

 11年10月にカンボジア国籍を取得。12年2月にはロンドンへの最終試験とされた別府大分毎日マラソンで、カンボジア五輪委員会が設定していた内定タイムをクリアし、翌月に代表選出が決定。100人近い報道陣が集まり、テレビカメラ10台が並んだ報告会見では、歓喜に浸るだけではなく、胸に秘めていた思いも打ち明けた。

 「カンボジアの選手は貧しくて、足が痛くても湿布やテーピングもないというのを、目の当たりにしてきました。『国籍まで変えて、どういうつもり』『カンボジアの人はどう思ってるんだ』…いろんな意見があっていいと思います。やると決めた以上は、最後までやり通します」

 発展途上国の国籍を得て、五輪を目指すことには、当初から賛否両論があった。ある日本人メダリストからは「心情的には本当にいいことなのか複雑」とコメントされたが、批判も受けとめる覚悟を見せた。猫はカンボジアで孤児院を訪ねて、子どもたちにオモチャや文房具をプレゼントし、日本国内で集めたシューズやTシャツを選手仲間に配布。“第2の母国”に社会貢献で恩返しをしている事実は、あまり知られていない。

 最終的にロンドンはルールの壁に阻まれたが、リオを見すえて走り続けた。1年のうち4~5カ月はカンボジアに滞在。14年10月には韓国・仁川でのアジア大会に出場。完走した選手では最下位だったが、お決まりの「ニャー」ポーズを決めながらゴールに駆け込んだ。15年2月の東京マラソンでは自己ベストを3分も縮め、2時間27分52秒を記録した。

 五輪挑戦前からランナー猫を指導するのは、谷川真理の育ての親でもある中島進コーチ。カンボジアと日本で離れているときにも、連日電話やLINEでトレーニングメニューを指示している。リオ決定を受けて、話を聞いた。

 「(身体能力の)進化はしてないと思いますが、ロンドン落選の精神的ショックから4年間、踏ん張り抜いたのはすごい。去年自己新を出せたのも、彼の頑張り。ああいう芸風だから外部の人には分からないと思うけど、非常にマジメな人間ですから」

 “努力”と“メンタルの強さ”で、リオを引き寄せたと証言する。

 「(国籍変更を)『ズルい』と言われることもありますし、デリケートなところですが、彼は奥さんにも応援してもらって、五輪に人生をかけている。厳しいことも全部分かった上で、やっていること」。ときには逆風にさらされながらも、初志貫徹した愛弟子に誇らしげだ。

 もう1人、猫の精神力アップを身近で感じていた人がいる。所属事務所・ワハハ本舗の担当マネジャーだ。当然のことながら、五輪挑戦の一部始終を見守ってきた。

 「以前は批判されることを気にしていましたが、今は応援してくださる方々や、カンボジアで仲良くしている選手、ライバルのために、頑張ろうとしてますね。人間的に大きくなったと思います」

 マイウェイをまっしぐらに突き進み、たどり着いたリオ五輪のスタートライン。日本時間8月21日午後9時半、高らかに号砲が鳴る。(デイリースポーツ・丸尾匠)

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