楽天社員、元値つり上げ割引“偽装”
楽天の複数の社員がインターネット仮想商店街「楽天市場」の出店店舗に、元値をつり上げて割引したように見せかける不当な二重価格表示を指示していたことが19日、出店業者らへの取材で分かった。こうした表示は昨年のプロ野球日本一セールで発覚したが、社員の関与は明らかになっていなかった。消費者に誤解を与える表示を楽天側が主導していたことになり、楽天は「事実なら看過できない重大な内規違反であり、厳正な処罰を行いたい」としている。
国内最大のネットショッピングモールで、楽天社員による違法ともいえる指示が明らかになった。こうした二重価格表示は、景品表示法違反の有利誤認に当たる可能性がある。消費者庁は「事実関係を確認したい」としている。
楽天によると、日本一セール後は社員教育を徹底するなどし表示の適正化を図ってきたという。
生鮮食品店を出店している店長によると、2011年に「ECコンサルタント」と呼ばれる楽天の店舗担当社員から「定価を倍にして50%オフ商品をつくるように」と指示を受けた。倍額にした元値を表示、実際の販売価格を半額にしたように装った。
飲料を販売する店長は11年から、別のコンサルタントの指示で元値を実際より5割近く高く表示していた。日本一セールでは元値をさらにつり上げ「77%オフ商品」をつくるよう言われたが、「怖くなって従わなかった」と話している。
ほかの食肉や総菜の販売店なども共同通信の取材に、同様の指示があったと証言した。
昨年、プロ野球楽天の日本一セールで不当表示が問題になった後、楽天から二重価格を禁止するメールが届いた。受け取った、生鮮食品を販売する店長は「自分たちでやらせておいて、それはないだろう」と憤る。
日本一セールでは、楽天は17店舗の表示を問題として1カ月の販売停止処分にし、三木谷浩史社長が謝罪していた。