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 第12回

 1988年日本オープンジャンボは仕切り直しを恥じている

 何事にも動じないはずが…

日本オープンゴルフ最終日、18番でウイニングボールを手にギャラリーの声援に応える尾崎将司

 1988年の日本オープンは、ファンやったらみんな覚えとるやろうね。ジャンボが復活優勝を果たした試合。ウイニングパットを2度、仕切り直して決めた、あれよ。

 もちろん劇的な優勝なんは間違いないよ。それを名場面としていまだにもてはやしてくれる人もおる。そやけど僕は、実はジャンボはあの仕切り直しを、いまだに恥とるんやないかなあ、と思うんよ。

 日本中の注目を浴びて「あんなところで、あんなぶざまな…」。ジャンボはそう考えとるんやないかな。

 だれもが恥と汗をかいて大きくなる。なんてのは、ジャンボには当てはまらんよ。たとえば98年のフィリップモリス(現ABCチャンピオンシップ)では、初日出遅れた影響で、後ろから7組目のスタート。

 これがなんとホールアウトしたらトップに立っていて、残り6組の結果を待つことになったんやけど、ジャンボは「組み合わせ表を持ってこい」言うてね。何をするかと思ったら、後ろの組の名前を見て「これには負けない、これも勝てる、こいつにも負けない…」いうて1人ずつマジックで消していくんよ。

 勝った気でおるんやね。それでも、もしプレーオフになったらということもあるから「準備するか」言うて、行った先はレストラン。ジャンボの言う準備は「カツ丼を食うことに決まってるやろう」って。上がってきた丸山(茂)も「こんな時にカツ丼ですか?」って目を丸くしとったなあ。

 ジャンボは平然とカツだけ食って、ご飯を残して「お前、食え」やからなあ。僕は丁重にお断りしたよ。実際に、終わってみれば逃げ切りの優勝やからね。

 だからね、常に、何事にも動じないことを自分でもちゃんと分かっていたはずのジャンボが、ウイニングパットを仕切り直したんは、自分の中で痛恨事として残っとるんじゃないかなあ。

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