【綾子の視線】今年の渋野さんはアンビリーバブルな世界にいる

 「女子ゴルフ・エリエールレディース・最終日」(24日、エリエールGC松山=パー72)

 7位で出た渋野日向子(21)=RSK山陽放送=が6バーディー、ノーボギーの66で回り、通算19アンダーで逆転優勝を果たした。今季国内ツアー4勝目。次週のツアー最終戦、リコーカップ(宮崎、28日開幕)でランキング3位から逆転で史上最年少賞金女王の座を狙う。史上初の4週連続優勝を狙った賞金ランク1位の鈴木愛(25)=セールスフォース=は1打及ばず2位。同2位の申ジエ(韓国)は11位に終わった。選手の心理や技術、勝負の流れなどを、デイリースポーツ評論家の岡本綾子氏が自身の視線でお伝えする。

  ◇  ◇

 この日の渋野さんはすごく集中してプレーしていました。プロになってまだ経験が浅いにもかかわらず、これだけ注目される中で、本当によく頑張っていると思います。

 同組の鈴木さんとの優勝争いは見応えがありました。特にフロントナインは互いにバーディーを奪い合い、相乗効果でスコアを伸ばしていった。プレーのリズム、テンポが無意識に同伴プレーヤーに左右されることもあります。渋野さんは自分のプレーに集中する上での駆け引きとして、あえて鈴木さんのプレーを見ないようにしているシーンも見受けられました。

 勝ち方に同じ勝ち方なんてものはないのですが、それにしても今回は、今までにない勝ち方だったように感じます。土台を作り上げる周囲のサポートにも恵まれているのでしょう。

 この半年で精神力、技術力ともにすごくジャンプアップしました。「注目」がいい意味で彼女を成長させています。渋野さんはチヤホヤされても、それにちゃんと対応できている。これはアスリート家族の中で育てられてきたからこそ。両親の教育に感謝ですね。

 ただ、今年の渋野さんは俗に言う“持っている”状態。ここまで強い運気を持っているのは、アンビリーバブルな世界。渋野さんだけにフォロー風が吹いているみたい。予選落ちした翌週に勝っちゃうなんて、もう驚くしかない。これぞバウンスバック、かな。予選落ちして逆にスッキリした部分もあるのでしょう。心身ともに張り詰めていたものが解けたんじゃないかな。

 一方で鈴木さんはどうしちゃったのかな。17番の1打目を池に落とすなんて、らしくない。史上初の4週連続優勝を達成する姿を見たかった。私はかなり期待していたんです。最終組で出た申ジエさんも1番からすごく集中していた。でも最終盤に突然、雨風が強まったのは不運でした。

 やっぱりスポーツは下駄を履くまで分からない。賞金女王争いもどうなるか、最後まで目を離せない展開になりました。私も来週は注目してテレビ観戦したいと思います。

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