前代未聞!ミケルソンが転がるボール打った 悪びれず「ルール利用当然」
「米男子ゴルフ・全米オープン選手権・第3日」(16日、シネコックヒルズGC=パー70)
35位から出たメジャー通算5勝のフィル・ミケルソン(48)=米国=が、13番のグリーンで動いている球を打つという前代未聞のルール違反を犯した。本人は2打罰を覚悟の上で行ったと説明。競技の根幹を無視したような行為に、各所から非難の声が上がった。松山英樹(26)=LEXUS=は4ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギーの79と乱れ、通算14オーバーの54位に後退。首位にはダスティン・ジョンソンら米国勢4人が3オーバーで並んだ。
メジャー5勝でこの大会に生涯グランドスラム(4大メジャー制覇)をかけていたミケルソンの前代未聞のルール違反が、世界最高峰のメジャー大会を傷つけたとして物議を醸している。
問題のプレーは13番パー4で起こった。5メートルのボギーパットは急な下りのラインを転がり、カップ右をすり抜けて、さらに遠ざかろうとしていた。それを見たミケルソンは、ボールがカップから2メートルほど越えた地点で小走りで追いつき、打ち返した。打球はカップを1メートルほどオーバー、返しも入らず4パット。2罰打を加えてこのホールは10となった。
18番を終えて報道陣に囲まれた本人の発言が、さらに問題に輪をかけた。「同じ箇所で行ったり来たりするのが嫌だった。だから2罰打を受けて次に進みたかった」と、冷静に判断していたことを説明。そして「これまで何度もやりたいと思っていた。ルールを自分に有利に利用するのは当然のこと。無礼だとは思わない」と悪びれずに話した。
この日はミケルソンの48歳の誕生日で、コースのあちこちではギャラリーによるバースデーソングも起こっていたが、ムードは一変。ゴルフのペナルティーは本来、起こしてしまったミスに対して科されるのが前提だが、ミケルソンの行為はルールを逆手に利用するものだけに、テレビ視聴者からは「失格にしろ」という声も多かったという。主催の全米ゴルフ協会の裁定は2罰打だけ。首位と14打差で64位のミケルソンは最終日もプレーする。