【舩越園子の目】スピースとキャディーを包む拍手と笑顔「君は賞賛に値する」
「米男子ゴルフメジャー第3戦・全英オープン・最終日」(23日、英・ロイヤルバークデールGC=パー70)
いろんなことが起こった全英オープン最終日だったが、思わず涙が込み上げそうになったのは表彰式を眺めていたときだった。
全英初制覇、メジャー3勝目を挙げたジョーダン・スピースは優勝スピーチも堂に入っており、大会主催者のR&Aやロイヤル・バークデールへの謝意を流暢に述べていった。
その次にスピースが口にしたのは、キャディーのマイケル・グレラーを讃える言葉だった。
出だしの4ホールで3ボギーを喫したこの日は「望まないスタートになってしまった」。だが、7番で「ここからが新しい試合だと思えばいい」と檄を飛ばしたのも、トラブルに見舞われた13番で単独首位の座を初めて明け渡したとき「ここから流れを変えるんだぞ」と激励したのもグレラーだった。「僕のすべてのメジャー優勝はマイケルのおかげだ。キミは賞賛に値する」。
その言葉にグレラーはすべての苦労を忘れたかのように安堵の色を見せ、そして誇らしげに胸を張った。その様子を見ていた人々は一層大きな拍手をスピースとグレラーに贈り、グランドスタンド全体が笑顔に包まれた。
そんな締め括りが妙にうれしく、いい全英オープンだったなと、しみじみ思った。
(在米ゴルフジャーナリスト)