田中希実 女子5000メートル決勝進出 先頭で引っ張った山本有真に感謝「2人でつくったレース」思い背負って決勝へ

 女子5000メートル予選を突破した田中希実(左)は山本有真と健闘をたたえ合う(撮影・石井剣太郎)
 女子5000メートル予選で力走をみせる田中希実(左)と山本有真
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 「陸上・世界選手権・女子5000メートル予選」(18日、国立競技場)

 女子5000メートル予選は田中希実(26)=ニューバランス=が14分47秒14の1組5着で20日の決勝に進んだ。広中璃梨佳(日本郵政グループ)、山本有真(積水化学)は予選落ち。同800メートル予選で17歳の久保凛(東大阪大敬愛高)、同走り高跳びの高橋渚(センコー)も落選。男子400メートル決勝で中島佑気ジョセフ(23)=富士通=が44秒62で6位だった。200メートル準決勝の男子は鵜沢飛羽(JAL)が20秒23の1組6着、女子は井戸アビゲイル風果(東邦銀行)が23秒15の1組8着でともに決勝進出を逃した。

 仲間と気持ちをつなぎ、田中が4大会連続の決勝進出をつかんだ。前夜、山本から「私にできることはない?」と声をかけられ、日本勢2人でレースを引っ張るプランを固めた。同組で予選を走って敗退したパリ五輪のリベンジを込めた計画。山本にとっても、4月の選抜中・長距離大会でペースメーカーを務めた田中のおかげで、2年半ぶりに自己ベストタイムを出した恩返しでもあった。

 レースは号砲から山本が先頭に飛び出してペースをつくり、田中がその後ろにぴたりと付いた。残り6周から田中が前に出ると、4800メートル地点まで首位を激走して組5着。山本は粘れず組18着に沈んだが、ゴール後は抱擁して互いに健闘をたたえ合った。田中は「有真ちゃんのおかげ。2人でつくったレース」と感謝し、山本も「前半で攻めることができた。自分のためにも田中さんのためにも強い気持ちで走ることができた」と納得した表情を浮かべた。

 決勝は中1日の20日。田中は予選敗退を喫した初日の1500メートルの悔しさを、ここで晴らす。もう自分だけのレースではない。「光も闇もこりごり。今は言葉で表現できるものではなくて、自分の透明な気持ちを走りから放てるように」と、独自の世界観で決意を示した。仲間の思いも背負い、スタートラインに立つ。

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