ロコ・ソラーレ五輪へ試練の黒星発進 氷上のゴミで急失速不運も藤沢前向く「気をつけないといけない部分」も「誰も調子が悪いわけじゃない」
「カーリング・日本選手権」(2日、横浜BUNTAI)
初の首都圏開催、アリーナリングでの大会が開幕し、女子1次リーグが行われた。18年平昌五輪、22年北京五輪2大会連続メダルのロコ・ソラーレは昨年準優勝の北海道銀行と対戦し、5-7の逆転負けで痛恨の黒星スタートとなった。
今季対戦成績2勝4敗、直近2連敗中と分の悪い北海道銀行との初戦となった。第1エンドは後攻の北海道銀行が1点を奪ったが、第2エンドにロコ・ソラーレのスキップ藤沢五月がラストショットで見事なダブルテークアウトを決めて2点を奪った。第3エンドは北海道銀行が厳しい展開に追い込まれたが、ドローを決めて1点を奪った。第4エンドはロコ・ソラーレが1点。第5エンドは藤沢の難易度の高いダブルテークアウトが決まり切らず、北海道銀行が2点を奪い逆転に成功した。前半は3-4で折り返した。
後攻の第6エンドには不運に見舞われた。リードの吉田夕梨花の最初ショットはコーナーガードを置きにいったが、ホッグライン手前で急激に失速。メンバーが「かんだ、かんだ、かんだ、かんだ」と思わず声をあげた。有効な石とならず、会場にもどよめきが起こった。石が滑る間に氷上のゴミが絡まってしまう「かむ」というアクシデントが襲った。このエンド、ロコ・ソラーレは1点スチールされてしまい、痛恨のエンドとなった。
第7エンドは厳しいショットを強いられたが、藤沢が入念に石を拭いて放ったラストショットは紙一重でナンバー1として残り、1点を確保。第8エンドは相手に複数点の流れだったが、藤沢の好ショットでなんとか1点で食い止めた。
2点を追う第9エンドは複数点が欲しいところだったが、北海道銀行スキップ田畑百葉が好ショットで1点のみ。最終10エンドは北海道銀行に手堅くまとめられて敗れた。
試合後、藤沢は「負けてしまったが、自分たちがそこまで悪かったかといえば、そこまでではない。ちょっと展開の部分で、作戦的にもうちょっとこうできたかなという部分がある。そこをもう1回確認しなおして、自分のやりたい展開にもっていけるような形ができれば。試合の内容は悪くない」と、振り返った。不運な場面もあったが「私たちの使っていた石にクセがあった。相手もそうなんですけど、ゴミでピックしてしまった部分が何回もあったので。そこはアイスアリーナの気をつけないといけない部分の1つ。そこを気をつけていけば」と、分析した。
約2000人の観客が見守る中での試合に「私自身、もう少し緊張するかと思った。でも、この会場にきて、ほぼ満席の皆さんの前でプレーするのが久しぶりでもあったので。緊張よりもワクワクな楽しい試合ができた。ここから緊張感ある試合が続くと思いますけど、コロナを経験して観客の方のパワーを感じることができた」と語り、「本当に誰も調子が悪いわけではないので。あとは私のこの声が枯れないことを祈ります。今もう高い声でないので、低い感じですいません」と、笑顔で前を向いた。また、吉田夕は「石がかんだのは要警戒だなと。石の裏にエッジがあって、ゴミが噛みやすいエッジかな」と振り返ったが、メンバーは気落ちすることなく、明るい雰囲気で会場を後にした。
ロコ・ソラーレは昨年の日本選手権で3連覇を逃し、まさかの2次リーグ敗退。今大会でミラノへの道を残すには、今大会は3位以内に入ることが条件で、4位以下なら可能性は消滅する。
◇ミラノ・コルティナ五輪日本代表選考条件
日本カーリング協会が定めた選考基準は次の通り。代表選考条件は以下の5条件
(1)23年度日本選手権優勝
(2)24年世界選手権出場
(3)24年度日本選手権優勝
(4)25年世界選手権出場
(5)25年度日本選手権決勝3日前時点でのWCF世界ランキングの最上位かつ、23、24年度日本選手権のいずれかにおいて3位以内
いずれかを満たすチームが複数ある場合は今年9月末までに代表候補決定戦が行われる。女子は(1)、(2)はSC軽井沢クラブとなっている。23年度の日本選手権で4位だったロコ・ソラーレは、1月27日時点でWCF世界ランキングは日本勢最上位の7位につけており、最上位が確定。五輪出場の可能性を残すには今回の日本選手権で3位以内に入ることが条件になる。
◇カーリング 出場権獲得条件
出場枠は男女とも10。開催国枠のイタリアを除き、24年世界選手権、25年世界選手権の合計獲得ポイントの上位7チームが出場権を獲得する。残り2枠は12月の世界最終予選で決定する。24年世界選手権で日本女子は11位に終わっており、獲得したポイントはわずか「3」。今回の日本選手権の勝者が出場する3月の世界選手権(韓国)での好成績が求められる。