脅威のDNA!!王鵬 大鵬→貴闘力→親子三代金星 初の横綱戦で史上初「気持ち良かった」

 激しい突き押しで照ノ富士(右)を攻め込む王鵬(撮影・北村雅宏)
 初金星を挙げて意気揚々と引き揚げる王鵬
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 「大相撲春場所・5日目」(14日、エディオンアリーナ大阪)

 平幕王鵬が初の結び、初の横綱戦で照ノ富士を寄り切りで撃破した。昭和の大横綱の祖父・大鵬、父の元関脇貴闘力に続く、親子三代金星は史上初となった。大関陣では霧島が明生をはたき込んで初日を出し、豊昇龍は朝乃山を下手投げで退けた。かど番の貴景勝は熱海富士に、新大関琴ノ若は宇良に屈して、それぞれ2敗目を喫した。大の里は不戦勝で5勝目。小結阿炎、新入幕の尊富士を含めた3人が全勝を守った。

 体に流れる血が目覚めた。王鵬が横綱初挑戦で金星。激闘を終えて支度部屋で腰を下ろすと、張り詰めた表情が少し緩んだ。

 「すごいうれしい。絶対に引いちゃいけないと思っていた。イメージは作っていたけど…。体が勝手に動いてくれたのかな」

 攻め続けた。低く当たって潜り込むと、回転のいい突き押しと左のど輪で追撃。外四つで抱え込まれて振られたが、こらえて力いっぱい寄り切った。

 照ノ富士には巡業で胸を出してもらったことはなく、出稽古でも指名されたことはなかった。正真正銘の初対戦。「(立ち合いで)当たってから覚えていない。それだけ集中していた」。本能で金星をつかんでみせた。

 祖父に大鵬、父に貴闘力を持つ角界のサラブレッド。歓声が飛び交う結びは初経験だったが、気後れは一切なし。「朝からいい緊張感で集中できていた」といい、注目の集まる独特の雰囲気でさえ「気持ちよかった」と言ってのけた。単純な強さだけでなく、プレッシャーを楽しむ心の強さも祖父から受け継いでいる。

 自己最高位の東前頭三枚目で臨む今場所。序盤を終えて2勝3敗と黒星は先行しているが、この日の金星で勢いに乗ることは間違いない。「しっかり、今日みたいな相撲を続けられるように頑張れたら。(東京に戻ったら)墓参りは行きます」。報告は納得のいく結果を残してから。覚醒したDNAが、春場所を荒らしていく。

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