優勝争い3人とも負けた 8日ぶりコロナ“0”もやっぱり大荒れ 千秋楽はともえ戦か
「大相撲名古屋場所・14日目」(23日、ドルフィンズアリーナ)
優勝を争う3人がそろって敗れる波乱が起きた。トップだった平幕逸ノ城が明生に寄り切られて3敗目。並んでいた横綱照ノ富士も大関正代に引き落とされて3敗目。大関貴景勝は関脇若隆景に送り出され、4敗に後退した。ただ、3人で優勝を争う構図は変わらず。千秋楽では照ノ富士-逸ノ城による優勝決定戦、3人によるともえ戦で優勝が決まる可能性もある。
大詰め間際で、まさかの展開が待っていた。新型コロナウイルスの感染拡大に揺れた今場所。8日ぶりに各部屋からの感染者が報告されなかったが、土俵は最後に大きく荒れた。優勝の可能性を残す3人が枕を並べて討ち死に。千秋楽になだれ込むことになった。
まずは逸ノ城が明生に完敗。張り差しから手をかけた左上手が切れると、巻き替えを狙った瞬間を突かれた。鋭い寄りを残せずに俵を割り、険しい表情を見せた。
貴景勝はこれで自力Vの可能性が復活。ところが、好機を生かせない。若隆景の右を抱えて強引に小手に振ったところで腕を抜かれ、もろ差しを許して形勢逆転。横につかれて送り出され、また自力Vはなくなった。
やっぱり最後は横綱か…。そんなムードで迎えた結びも、館内の予想を裏切った。立ち合いで踏み込んで一気に出た照ノ富士だが、正代のいなしに足が出ず土俵に這(は)う。混戦を演出した大関の頭には、舞った座布団がぶつかった。
敗れた3人のうち、貴景勝だけがリモート取材に対応。小手に振った内容を「勝たなきゃいけないので。負けたってことです」と振り返ると、チャンスが残った千秋楽へ「今日と同じ。頑張ります」と気合を入れ直した。
八角理事長(元横綱北勝海)は「千秋楽が楽しみになってきたんじゃないですか」と歓迎。「精神的に強いのは横綱ですから、やっぱり」と、照ノ富士有利と予想した。3人による優勝決定ともえ戦となれば、94年春場所以来28年ぶり。コロナ休場者続出で混乱を極めた夏の名古屋、誰が締めても不思議はない。