阿炎 有言実行の照ノ富士撃破 「チャンス転がってきた」土俵際で小手に振って逆転

 「大相撲名古屋場所・初日」(10日、ドルフィンズアリーナ)

 小結阿炎(28)=錣山=が横綱照ノ富士を送り出しで破る殊勲の星を挙げた。照ノ富士は2場所連続で初日に黒星を喫した。かど番の2大関は、御嶽海は隆の勝を下したが、正代は琴ノ若に完敗。明暗が分かれた。大関貴景勝も霧馬山に屈して黒星スタート。1横綱2大関が敗れる波乱の幕開けとなった。また、協会あいさつに先立ち、8日に死去した安倍晋三元首相を追悼し、館内で黙とうがささげられた。

 会心の一番から30分近くたっても、阿炎は興奮冷めやらぬ様子だった。「覚えていないけど、しっかり当たれた気がする。無我夢中で相撲をとったらチャンスが転がってきた」。初場所に続く2度目の照ノ富士撃破。持てる全てを出し切り、最高のスタートを切った。

 立ち合いから、がむしゃらにもろ手で突いて出た。下がらない横綱に左前みつをとられて押し込まれ、俵に詰まっても諦めない。右に回り込みながら小手に振ると、バランスを崩した横綱を最後は送り出した。

 有言実行だった。前日に「全力で何かしたら自分にもチャンスが転がってくると思う。諦めずに最後まで力を出し切ること」と話していた。思い描いた通りの展開。何度も「思い切りのいい相撲」というフレーズを繰り返し、最後まで諦めない姿勢は「師匠も言ってくださるので、いつも頭にある」と教えを体現して胸を張った。

 先場所は千秋楽で負け越し。上位に対応されつつある状況を感じ、稽古では当たって相手を押し切る一丁押しを増やして前に出る力の強化に務めた。また、千代の富士や稀勢の里の映像を見て研究。腰の位置はそれほど低くないことに気付いた。「自分に合った腰の高さがあるなというのは最近の発見」と、自分の位置をつかもうと稽古で追究してきた。

 コロナ禍以降初めて観客数の上限なしとなった場内からは、座布団が舞った。危険防止の禁止事項とあって「少し飛んでたと思うんですけど…良くないこと、ですかね」と言葉を選んで“大人の対応”を見せた阿炎。3場所連続の三役、荒れる名古屋の主役に踊り出る。

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