レスリング女子５０キロ級で東京五輪金メダリストの須崎優衣（２２）が２６日、東京都新宿区で行われた早大の卒業式に出席した。母・和代さんが昔着ていたというクリーム色の着物に、えんじ色のはかまという華やかな姿で卒業証書を手にし、「無事に卒業することができて良かった。色んな方々に支えていただき、卒業することができて感謝の気持ちでいっぱい」と４年間の大学生活に別れを告げた。

　大けがやコロナ禍なども乗り越え、悲願を成就させた４年間だった。コロナ禍でリモート授業となる前の１、２年時は、都内からスポーツ科学部の所在地である埼玉・所沢キャンパスに往復３時間かけて通い、授業後は早稲田キャンパスに移動してレスリング部で練習する日々。合宿や大会で授業を欠席することもあったが、周囲のサポートも受けながら旅立ちを迎え、「（大学で）新しい友達や、他の競技で活躍する人と交流して刺激になったし、世界が広がった。大学生活全てが一生残る大切な思い出になった」と振り返った。

　昨夏は夢だった東京五輪で優勝し、在学中の女子選手としては早大初の金メダリストにもなった。進学前は複数校から誘いもあっただけに「どの大学に行くか悩んだ時期があったが、憧れの早稲田から東京五輪に出て金メダルを取ったらかっこいいなと思っていた。卒業するときに早稲田に行って良かったと思えるようにと高校３年の時に決意して、目標もしっかり達成することができて、早稲田で良かったと心から思える」と実感を込めた。

　４月からは千葉に本社を置く株式会社キッツに入社し、引き続き早大を練習拠点としながら２４年パリ五輪での２連覇を目指す。まずは６月の全日本選抜選手権（駒沢体育館）が復帰戦となるが、「６月に絶対に優勝するためにトレーニングをしている。挑戦者の気持ちを持って、絶対にパリ五輪に出場して金メダルを取れるように頑張りたい」と気持ちを新たにした。